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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年09月27日
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カテゴリ:山口素堂資料室

摩河十五夜(まかはんや)素堂三十三回忌追善 山口黒露撰

         

  かつしかの素堂三十三回正当八月十五日、

こゝに三夜の月下に懐旧の微志を手向奉る

 

   十四夜

  此暮の翌にも似たり月の顔       黒露

  しら樫の葉の露のとくとく      馬光

西瓜ひとり冬の隣にはらはふて     寥和

 裸も紺の奴なりけ力         露

たった今掃た所を足駄かけ       光

 茶湯になれは椴か高進        和

六月の露もっ物は貝わか菜       露

 鴻立てゆく跡の羅僧寺        光

直もせすに踏ちらしたる竹筏      和

 聳とよふ名もことし一はい      露

澗はちと気に入らねとも二町まち    光

 まり子(鞠子)の宿もそこにはり有  和

三捨て鐘はすとんとくれ六ツ      露

 爺と嚊(鼾 イビキ)とて柴木はねる  光

あの笠はどこへ役者のしのふ摺     和

 さてさて色の黒いまんじゅう     露

結構な花の月夜を下り舟        光

 はやほととぎす春はくれ行      和

蝶々の尻も小まめにいま参り      和

 箸のころんだ事にさへ灸       光

二石めはとこへもたらぬ比丘尼寺    露

 南嵯峨ても踊る宵々         和

もろこしの葉も人なミに秋の風     光

 暮るけハなし蜩(ひぐらし)の月   露

袷着て百社まいりハ皆うは気      和

 若衆くるひも貞享のころ       光

仙台の芭蕉か辻の呉服みせ       露

 継さほそうき旅の三弦        和

汁の実も取らせす雪の降かゝり     光

 帰京の事は夢しやないかと      露 ◎

かんきんも長し雪隠も又長し      露

   死ぬな死ぬな■御意は忘れぬ     光

三崎もけふは比目の花さかり      和

 古道具屋の桃の投入れ        露

出替りの洗濯をして居たりけり     光

 三人なから笑ふ不拍子        和

   十五夜 祥忌

名月や茶杓も流れなみた川       露

 みのむしの音をあか素堂尊      

松茸の松葉に京の恋しくて

 おもしろ気なき廿畳敷

比比独吟をつづり置しか、

ことの葉のふり行秋の夜の長々しさをと、

こゝに出さす

     十六夜

此くれのきのふに似たり月の顔     黒露

   三十三年色かえぬ松         大梅

鳴子引猪追ふ人と咄して        々

   酒にあふては田も畦もやろ      露

あかろふと思ふて雨かぬける程     々   

   今白いなら南天の花         梅

医者よひに遣り戸ひらりと押開き    々

   とけて結へは又解て帯        露

山鳥の長く寝て居て地蔵経       梅

   瓦灯へあてる入日淋しき       露

木からしの出物店を吹て行       梅

   鬟(みずら)も羽織も肥後のつき冗  々

三弦を猿に合せて出来しぶり      梅

   浅草川の浅ましの世や        露

衝立の花といふ字に墨五升       梅 

   干鱈の雪にかき鯛の雪        露

とろ作の旦那を肩に睦み月       梅

   沖も静にくれる牛町         露

  仕舞た屋こくらに高き木を植て     々

秋舟のような検校の耳        梅

色も香もかまはぬ縞のもめん夜着    露

   是か大夫か哀れなりけり       梅

竿にゐて疸をのそく鸚鵡        露

   江湖の間々しんしん         梅

棚つるとすくに大工はうつ走る     露

   あふき立たる鰯てんかく       梅

橋ひとつ越せは常住月夜にて      露

   壁にふらりとかゝる鹿笛       々

隠居して遊ひの岡の芋はたけ      梅

   坊主たたみを掃ちきるらむ      々

ほちほちと穴の明たる灰ふるひ     露

   何ンの事にもたゝ暦好き       々

桜ちる草の庵の草の餅         梅

   その古池も夏を隣に         々

 

     諸君雪月花秋草の旬々を乞て

ここに祠(素)堂の手向草とす

名月や光りに足らぬ艸の庵       馬光(長谷川)

名月や暮るゝとすくに朝日山      京 竿秋

  ちと休めけふの月又翌の月       寥和

ほかほかと貝も月見るここかしこ    京 移艸

極楽をうしろに寺の月見かな      大梅

名月や三日月細ききのふけふ(昨日今日)故一

名月や昼より乾く魚の店        散木

明月や雲にけ高き額際         花屋

晩鐘や月のこよひの山かつら      甲陽 多芳し

三日月や一二の橋の間より       豆州 露新

ちる花も掃雪も憂し今日の月      訥子

明月や天のあたへの捨小ふね      蓮谷

名月や大名通る夜半の音        竹郎

    ゆき

今朝の雪鳥の動す羽也けり       故一

しら雪の道をひらくや初しくれ     散木

初雪や浪のとどかぬ岩の上       摂陽 淡々      

    はな

鋤に肘川の向ひは花さかり       淡々

あそこへは行ぬ所か花盛り       訥子

花咲や巨鐘の山は兀るころ       豆州 羅竹

門たてに出てけふの日も散桜      馬光

花に行しるへつたひや村山家      笠秋 

四方から花に咲るゝくぬ木哉      甲陽 呑舟

友達に花を咲せて柳かな        大梅

花の山坐頭を使者にやりにけり     竹郎

  

ほとゝきす

杜鴎通夜のまくらは扇かな       青蛾

薮原はまたやふさかそ郭公       雨洗

檀の庵も匂へりほとゝきす       甲陽 麥鳥

ほとゝきす集て百はなかりけり     故一

来年のいつか又けふ郭公        訥子

山里や啼ぬ日も耳に時鳥        駿州 風耳

月雪の魂飛ふやほとゝきす       大梅

子規はけしき雨をやり過し       馬光

孝行の鍬は田螺か花の雪        柳居

宿とする一木定よ時鳥         宗端

船頭の艪を横たへて月見哉       珪琳

 

右三章は三十三周のころ■やらむを、

去給ひし故見て来し句々を書記

 其ころの秋かた、三吟両吟相催せし雅主は

はな我を一人捨て遠く行給ふに、

猶遠く近く知音の方々より供し物とて贈り給りしも、

其花匂ひ残て其人なし、

其人をしたひ其句其世意思ひ厭に絶たり、

其比にこと成へきを、

彼貧しさに故障のあらましさへ打添てやゝ今こゝに呈す

   

所思

須磨寺は寂しき花の盛かな       買明

冒に落花みちんやすまの花       黒露

名月や物思ふ目にわきかへり      遠州 奈桐

擦はかり洲崎を飛や月の鷺       豆州 里杏

明月や猿下りて来るみねの松      豆州 半宵

名月や逆さに投る猿おかせ       館林 謝道

よくみれは雲ゐの底にけふの月     泉川

名月やあらはに葛のうら表       卯雲

数ふれは月は車のくるまかな      摂陽 富天

こよひ又名にもあふむの桂かな     京  楚嵐

初雪や掃除して待木々の枝       甲陽 明太

はつ雪や桃にとまれはもゝの花     魚道

煤けたる行灯出して雪見哉       黒露

名月や田の面の水に底はあれと     買明

貧になる野を引立たけふの月      駿河 鴈洲

三十日より三日そことし花さかり    尾陽 鉄叟

うくひすや桜にうつる梅の宿      里杏

灸すえし其山の端やほとゝきす     素桐

うくひす八月星や闇に郭公       菊友

岩くらの雲ハ旨いかほとゝきす     岩代店

聞ぬ間は歎きの森そ時鳥        坊芹

けふの月案山子も影に問れけり     明太

月ほとに朔日二日ほととぎす      文尺

木曽路のや有明月に咲さくら      帯雨






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最終更新日  2021年09月27日 05時17分12秒
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