カテゴリ:山口素堂資料室
「かがし」(『魔詞十五夜』)山口黒露 摩詞十五夜(まかはんや)素堂三十三回忌追善集
ある年、駿河より甲斐の山中へ入るに、道の程柏木峠・西行坂なといふ所を行、二月の中比にて麦艸の青み立たる山畑の畦に、何やらむ獣の皮を焼て四五寸に切て串にさし、畦ごとに幾つも立たり、いかにやと尋けれは、畑打男のいかがし也といふ、猪の毛を焼て麦あらす猪にかがせ、追驚かすかゞしと云といふに、清濁の違ひたるよと、おもふにかゞしとは嗅き匂ひを猪の類にかがする事也と、珍らしげに今迄のひが覚えを改侍る、其後『御傘』を見るに、かゞしと急度にごり付て有を見て、ひとり誤てひとり赤面す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月27日 06時02分32秒
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