カテゴリ:山口素堂資料室
源四郎ハ村上氏成しを、佐太郎さぶと云弦者の秘蔵せし 山彦といふ能三弦を求め取て後苗字を改ム、
(『魔詞十五夜』)(まかはんや)素堂三十三回忌追善集 黒露編
源四郎ハ村上氏成しを、佐太郎さぶと云弦者の秘蔵せし山彦といふ能三弦を求め取て後苗字を改ム、 近く宝暦始の比迄在命して、三弦一流の祖世の知る所也、 笠倉何かしか橋場の亭に食客の入給ひ、優曲の者多く来て饗す事成しに、源四郎三味線の上駒落けるに、懐より錫の小箱を出し続飯もて附て、其興をさまさす、彼菊亭のおとどの昔も思ひ合さるへく、何となく神妙 なる様子、けに一芸に名たゝる人其所作をふかく執しける故感応浅からすも、其魚季公も柱の落かるを探り付給ふて、御懐のそくゐにて付、首尾よく動すまし給ふも、琵琶に御志の深故によれり、まのあたり山彦か 上駒を探、飯つふよとひしめきしに、台所の遠けれはきやつも懐より取出したるたしなみの深き感しても余り有、雑音淫声とてそかはれ志は至れり、万の事もかくこそ執し侍るへけれ、三弦は晋元咸世に不遇つれづれくの日を送るとて、始て作り出せし器なるを、近世またまた雑戯瓦(キョウケンシハイ)の備へと成、妾童(ヤラウ)妓女の翫とせしより拙き調へのやうに成て、淫にそむ中立の事になりもて来るこそ是非けれとそ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月27日 06時26分21秒
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