カテゴリ:山口素堂資料室
延宝五年(1677)素堂三十六歳。 *"六百番俳諧発句合"内藤風虎主催。十一月~十二月五日。 判者…釈任口・北村季吟・松江維舟。 主要俳人の成績 山口信章 勝四句 負六句 持十句 内藤風虎 十八句 〇 二句 内藤露沾 十六句 〇 四句 北村正立 十一句 三句 六句 高野幽山 九句 五句 六句 小西似春 九句 五句 六句 望月千春 七句 二句 十一句 池酉言水 五句 九句 六句 松尾桃青 九句 五句 六句 十九番 試筆 鉾あリけり犬回本の筆はしめ 山口信章 四十七番 霞 見るやこゝろ三十三天八重霞 同 七十五番帰鷹(ガン). ちるをみぬ腐やかヘヘつて花おもひ 同 百三番 上巳 海苔若布汐干のけふそ草のはら 同 百三十一番 花 タかな月を咲分はなの雲 同 百五十九番 時鳥(ほととぎす) 返せもとせ見残す夢を郭公 同 百八十七番 鰹 初鰹またしとおもへは蓼の露 同 二百十五番 螢 戦けりほたる瀬田より参合 同 二百四十三番 納涼 峠涼し沖の小島のみゆ泊り 同 二百七十一番 土用干 富士山やかのこ白むく土用干 同 三百二十九番 鬼火 かたちは鬼の火鉢いたゞく 信章 鬼火や入日をひたす水のもの 同 三百五十七番 鹿 むさしのやふしのね鹿のねさて虫の音 同 三百八十五番 紅葉 根来もの麹みをうつせむら紅葉 同 四百十三番 月 宗鑑老下の客いかに月の宿 同 四百四十一番 砧(きぬた) 正に長し手繊紬につちの音同 四百六十七番 冬篭 乾坤の外家もかな冬こもリ 同 四百九十五番 茶花 茶の花や利休が目にはよしの山同 五百二十三番 凩 凩も筆捨にけリ松のいろ 同 五百五十一番 雪 何うたかふ弁慶あれは雪女 同 五百七十九番 ふぐ 世の申や分別ものやふぐもどき 同
《註》『俳諧』 この句合は岩城平城主内藤風虎が右大将家歌合になぞらえ、諾国の俳人六十名の発句を四季ごと百五十番づつ選んで、任口.季吟.維舟らの判紙を加えた集、信章.桃青.言水ら次代の俳諧の中心を形成する若い俳人を支える風虎とその家臣の俳人が多数参加している。 《私註》 主催した内藤風虎(義概.後義泰)はその息子露沾とともに、素堂の一生を語るには欠かせない人物である。風虎は奥州岩城平七万石の城主でその文忠興は大阪城代として勤務していた時代もある。又俳諧だけでなく和歌も嗜み多数の家集を編纂している。この句合以後も素堂は水間沾徳を風虎家に勤仕させたリ、宗因を迎えるにあたっても中心的な活動をした形跡もある。息子露沾は、素堂とは永隼の交友が深く素堂の逝去した翌年黒露により編まれた追善句集『通天橋』(享保二年・1717)には序文を著している。素堂と内藤家との深い関係が窺あれる。》
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最終更新日
2021年11月13日 15時01分17秒
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