カテゴリ:山口素堂資料室
素堂67才 宝永五年(1708) 『梅の時』
いきて人をよろかばしふるほど 死して人をなかしふることはり、 今猶昔におなじ。 世の名だたる中村七三郎 過にし初三日のよるみまかりけるに、 辞世とおぼしくて、 梅に種を結びて、一句をのこせり。 かつしかの同郷に追悼のこころざしあり。 予もまた泣きをうつされて、
たきさしやそ架の中よりこぼれ梅
といひてさりぬ。 かねてより、其人となかをかがなへみるに、 風雅の酒落をしたひ、 茶人の閑適をうらやみて、 その業はひくきにかくるるものならし。 もろこしの何とかやいひし人山林にいらず、 朝廷をかくれがとせり。 我日のもとにも髪をそらす 妻を避けず翁和尚とよばれて、 市中人なみなみにまじはり、 淫逸伝にいれるも有りけるをや。 縁に随ひてものずきもまた一様ならず。
かくれがの芝居の市に花ちりぬ
衣更着そねの日かつしかの隠居 素堂 序 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月13日 18時28分00秒
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