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福澤諭吉 天は人の上に人を造らず
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。 されば天より人を生ずるには、 万人は万人皆同じ位にして、 生れながら貴賤上下の差別なく、 万物の霊たる身と心との働きをもって 天地の間にあるよろずの物を資(と)り、 もって衣食住の用を達し、 自由自在、 互いに人の妨げをなさずして各々 安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。 されども今広くこの人間世界を見渡すに、 かしこき人あり、おろかなる人おり、 貧しきもあり、富めるもあり、 貴人もあり、下人もありて、 その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。 その次第甚だ明らかなり。 実語数に、人学ばざれば智なし、 智なき者は愚人なりとあり。 されば賢人と愚人との別は、 学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり。
(福沢諭吉著『学問のすすめ』/岩波文庫/岩波書店刊)
◆ 福沢諭吉 ◆ 天保五年(一八三五)~明治三十四年(一九〇一)。 ◆ 思想家・教育家。 ◆ 豊和国中津藩の大坂蔵屋敷で生まれる。父の死去に伴い、二歳で中津に戻り、門閥制度に強い違和感を覚えつつ育つ。 ◆ 十九歳で長崎に遊学し、後に大坂で緒方沢庵に蘭学を学ぶ。 ◆ 安政五年(一八五八)、藩命で江戸に出府し、翌年英学に転じた。三度にわたって幕府遣外使節に随行して欧米を視察。 ◆ 明治元年(一八六八)、慶應義塾を創設。明六社に参加。 ◆ 明治十五年には、「時事新報」を創刊。また、『西洋事情』を刊行し欧米文化の紹介に努めた。「独立自尊と実学」を鼓吹、「脱亜人欧」「官民調和」を唱える。『学問のすすめ』は人間平等宣言と一身独立・一国独立の主張で人々の心をとらえ、大ベストセラーになった。ほかに『世界国尽』『文明論之概略』『脱亜論』『福翁自伝』などの著書がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年11月23日 07時03分04秒
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