なんというボリューム感!
サブタイトルに「大江戸の賑わい─北斎、広重、国貞、国芳らの世界」なんて付いてるんだけど
まさに江戸の人たちが何を見て、何に興味があって、何にワクワクしてたのかが分かる展覧会。
幕府の衰退もまるで娯楽のように扱ってしまう、活気と熱気ムンムンな町人パワー。
熱いぜ、江戸人!
見どころ盛り沢山で
北斎の『冨嶽三十六景 山下白雨』はアレとは別に摺違いの展示もあるのを見比べたり
広重の『東海道五十三次』の「庄野」「蒲原」。夏の雨と冬の雪、う~ん。
なんて有名どころもあれば、あまり聞かない絵師の展示もあったりして嬉しいです。
さて、芳年。
ありましたっ!「江戸の劇画、霊界・魔界のヒーロー武者絵・芝居絵」ってコーナー。
おどろおどろしい大判三枚続の大迫力画面がずらりとお出迎え。
四谷怪談や頼光モノ、そして師匠の国芳が異才・天才っぷりを存分に発揮する中(↓)
『文治元年平家の一門亡海中落入る図』
うわっ、画集でしか見たことないヤツだ。記念すべき芳年15歳の時の錦絵デビュー作。
海中で流亡する屍をよそに、碇を担ぎながら沈む知盛の目はいまなお凛々しく
そして、海底でそれを待つ安徳天皇たちの優しい眼差し。感激!
で、下右は役者絵のコーナーに展示されてた国貞の「大當狂言ノ内 幡随長兵衛」松本幸四郎。
平家滅亡、幡随長兵衛…
んな訳で、いまさらながら「五月團菊祭 昼の部」のこと。
團十郎さんの長兵衛、目をギロリと横に流してさすがの威圧感!これは、これはぁ~。
なんて双眼鏡で楽しんでいると、いきなり画面真っ暗!な、なにごとっ?
前のお客さんの後頭部…。
前列は壁のように並ぶ立派な体格の外人さん達と、前3列から数珠つなぎの前傾姿勢なお客さん
って大ハズレの観劇条件に1日中テンション上がらず
そんな中で、一番印象に残ったのは藤十郎さんでした、けどぉ~(泣)
さて、足を進めて行くと、障子越しにどういうポーズとったらこんな影ができるでしょう?な「影絵」
や、何人もの人を組み合わせて一人の人物をかたち取る「寄せ絵」などが並ぶ
シャレとユーモア絵ってところの江戸版脳トレの展示に、脳ミソもほどよく緩んだり引き締まったり。
いよいよ、この展覧会の大きな見せ場。異国との出会い。
和紙に描かれた異国の人物や物語がより一層神秘的。
一番上のチラシの絵は世界に1点という激レアものだそうで、人物は黒船来航の時の副将アダムス。
かわいそうです。
「身丈五尺八寸」なんて情報まで書かれていて、まるで見世物、さらしもの。
好奇心旺盛な江戸の人たちのこと、きっとボロクソ言ってたよ(笑)
それが楽しいんだろうなぁ。
交通機関や映像技術が発達しまくった現代って、本当に面白いコトを見逃してるのかも?
なんて、ちょっと江戸時代の人たちを羨ましく思うのでした。