狂言 【神鳴(大蔵流)】
〈シテ〉 茂山逸平
〈アド〉 丸石やすし
〈笛〉 竹市学 〈小鼓〉 森澤勇司 〈大鼓〉 柿原光博
〈地謡〉 茂山童司 茂山千之丞 茂山茂 茂山竜也
能 【小鍛冶(喜多流)】
〈シテ〉 大村定
〈ワキ〉 福王和幸
〈ワキツレ〉 福王知登
〈アイ〉 茂山茂
〈笛〉 竹市学 〈小鼓〉 森澤勇司 〈大鼓〉 柿原光博 〈太鼓〉 徳田宗久
〈地謡〉 佐々木多門 谷大作 粟谷浩之 塩津哲生
内田成信 香川靖嗣 金子敬一郎 出雲康雅
雨よりかは晴れのほうが好きです。
けどね、限度ってもんがあると思うんですよっ!
―と、いささか強引なフリから
狂言【神鳴】
京の都。
人が集まるって事は良い人材も集まるって事で、全く流行らなくなった1人のヤブ医者。
『典薬寮(当時の医療系のお役所)で働けたら、喰いっぱぐれる事はないのになぁ。』
嘆くヤブ医者。けど仕方なく、仕事を求めて田舎(東国)に向かい始めます。
やがて、野っ原に差掛かった頃。
『ピッカリ、グヮラリグヮラリ。』
腰に付けた鼓を鳴らしながら、縦横無尽に舞台を動き回る真っ赤な顔した鬼。
雷様のご登場!
と、思いきや舞台中央に大の字になって
『ア、痛。』
雲の隙間から落っこちて腰を強打した、とのことです。
まるで高木ブーさんです。
さらに愛嬌たっぷりなところは、ブーさんそのものです。
相手が雷様とあって恐る恐る治療を始めたヤブ医者に、『針治療で。』と言われてビビる雷様。
『人間でも我慢できますよ。』とたしめられ渋々治療を受けるものの、激痛に大声を上げたり
すっかり腰の具合も良くなったので、そのまま空に帰ろうとする所を『治療代。』と呼止められ
『お金(って何)?ん~、いま持ち合わせてないんだよね。』
すごいな、雷様。
結局、「農民たちが潤わなければ、自分の所にも回る物が回ってこない。」と考えたヤブ医者。
雷様に、この先800年は干害と水害がないように、って約束を取りつける
という、心和むめでたい話。
そして、去り際。
『今度会った時は、お前をオレの典薬頭に採りたててやるよ。』
うるっ、と来た。
能は【小鍛冶】
帝の見た夢のお告げにより、刀を作ることになった小鍛冶宗近。
刀は1人じゃ作れない、けど帝の頼みとあっては断れない。
困った宗近が稲荷明神に祈願しに行くと、どっからともなく童子が現れて
『オイラが誰かなんてどーでもいいんじゃん。
んなことより、アンタの作ろうとしている剣もイイもんだから手伝ってあげる。
用意して待っててね。』
と、言ってその場から姿を消します。
「いざ、刀を作ろう。」と約束通り用意して待つ宗近の前に姿を現したのは―
…物語の趣旨からは外れますが
~\壁に耳、岩の物言ふ世の中に、岩の物言ふ世の中に、隠れはあらじ殊になお―
誰も知る由もないことを、何でもお見通しとばかりに登場した童子の言い草。
でも先の狂言で、「医師」を「石」と取違えて
『石がしゃべる訳ないじゃん。』と言っちゃた雷様。
同じ神様なのに、何この違いっ?!
なんか、楽しい。