同居人『太陽の陽』 【サンモールスタジオ】
〈作・演出〉 山本了 小高仁 伊藤弘子 岩本えり 浅田直美 伊藤真麻 有川加南子 熊坂貢児 ”あいつらに僕の人生はうばわれた。”数ヶ月前、当時靖史が副担任を務めていた中学二年の生徒が自殺した。「過去の出来事」と世間・学校・当時の担任までもが、ひとつの死を無いものにしようとする中、彼の落とした影に気付きながらも声をかけなかった事を責め、成すべき事を模索する靖史。最近認知症と診断され寝たきりの靖史の母親。その介護のせいか少しやつれ気味の妻。そして、自殺した生徒と同級生の娘の生活態度にも変化が現れていた。―盛夏。開放された縁側のすぐそこに迫るコンクリート塀と隣家の壁のツタも勢いよく伸び、繁っている。十二畳の居間。畳の上の鏡台と、左右に首を振る扇風機。座布団に囲まれた座卓の上に、新聞紙に包まれたお供え用の黄色と白の菊の花。彼の墓参りのため仕度を始める。直球勝負です。コッチがいくらファールでねばっても、あくまで直球で三振を取りたいみたいです。厄介なことに球速は衰えず、球質は重くなっていくいっぽうです。それは、「命」の重みとなって、お、押し潰されそう…。そこに見えているもの。それだけが全てじゃない、ってことあらためて思い知らされました。そして、それに気付いたときの不器用さ無力さも(汗)太陽の陽の下、笑顔を見せながら庭の手入れをする親子の光景。庭先で「生」を得た雑草を両手に握り、ぐるりと根こそぎエグる光景。光に満ちたその光景は微笑ましく、そしてグロテスク。『コレ、まだ生きるかもしれないから。』泥に汚れ、しんなりと生気を失ってしまった座卓の上の菊の花。憤りを覚え自らの手でそうしてしまった花を「ソレ」と言い、優しく抱かかえる生徒の母親の言葉を違和感なく聞き入れてしまう自分が実際いたりする。だけど、気付かないと何も変わらないと思うから。 今回客演された伊藤弘子さんの所属する「流山児★事務所」の『由比正雪』と『狂人教育』。唐十郎さん28歳、寺山修司26歳の作品で、さすがにとんでもなく超ド級の訴えが巧みに作品に組み込まれていましたっ!面白いこと(趣向)をやっている、それは見てて楽しかった。だけど、自分は物語にはなかなか喰い付けなくって…(泣)アングラ劇を説明しろ、って言われても出来ない自分が言うのもなんだけど荒削りさとか未熟さとかをカバーするのは止めようとしても暴走してしまうぐらいのパワー、信念じゃないのかと思ってしまうのです。流山児さんの「この作品は上演したい!」って想いは伝わったんだけど。