★自分が普通でない
比較する対象物が無いと自分の判断で答えを出してしまうが、これは仕方がないことである。去年の12月に私が十二指腸潰瘍になった時のことだ。入院は一週間だったのだが、退院して仕事に復帰した時、緊急入院だったため社長へ、「ご迷惑をおかけしました」と、一言電話をかけた。すると社長が「退院早かったね」と言われたのだが、この言葉を素直に受け止められなかったのである。私は幼少期にこそ体が弱かったが、社会人になってからは、健康に関して全く問題がなかった。扁桃腺と逆まつ毛の手術はしたが、どちらも入院はしないでの手術だった。なので、入院というものを社会人になってからは、体験したことが無かったのである。それどころか、会社においては病欠もしたことがない。そういう私にとって、会社を一週間休むということは、とても長い間会社に迷惑をかけたことになる。だから社長の「退院が早かったね」の言葉を、嫌味(?)という風に受け取ってしまったのだ。その後経理部長から、部長本人が十二指腸潰瘍になった事があって、1か月近く会社を休んだことを聞いた。そこで初めて社長の言った言葉を、素直に受け取れたという経緯が有った。インターネットで調べてみると、十二指腸潰瘍における平均入院期間が、18.9日と出ていた。それを見て、やっぱり私は退院が早かったのだと、再度納得したのである。でも入院当所は担当医が私の前で、入院期間を、6日にするか7日にするかを考えていて、結果入院を7日にしたというものだった。その時私は(なんで6日で帰してくれないの?)と思ったものだった。でも、今思うと担当医としては、入院が短かすぎることが心配だったのかもしれないと感じたのである。比較対象をしないと、分からないことは多い。人はどうしても自分の物差しだけで、計ってみてしまうからだ。私にとって入院の一日は大きい。だから当初は7日間って‥と驚きの対象になった。でも担当医を初め、十二指腸潰瘍による入院経験がある人たちにとって、むしろ短いと感じるものであることが判明した。比較対象して初めて、自分の立ち位置が分かるという話しだった。