★需要と供給、趣味と仕事
コロナの時代‥採用を取り消しをする会社もあれば、逆に採用する必要が出てくる会社もある。コロナは私たちの生活に、大きな変化をもたらしたのである。コロナが良くも悪くも関係しない会社は、多分無いだろう。必ず変化をもたらしている。それは私のように会社を定年退職した人間も一緒である。生活が全く変化しない人というと、社会から遠ざかって生きている人だろうから、極一部の人間だろうと思う。コロナに関係無い時から、人集めに苦労する会社は有る。たとえ雇用側の会社に有利な時代であっても、その職種に敬遠されて、募集しても人が集まらない会社もある。私の若い頃も、3Kという言葉が流行った、きつい、きたない、危険の、頭文字のKが3つで始まる会社である。誰もやりたくない仕事なのだ。「所さん!大変ですよ」の番組で扱った会社に、電気工事の会社が有った。送電線のメンテナンスを行う会社である。そこでは仕事の受注が沢山有るにもかかわらず、それを熟すだけの技術者が居ないのである。電気は私たちの生活に、必要不可欠なものであある。電気を必要とする家や会社は、増える一方である。昔と違って各家族なものだから、電気は家族の数だけ必要となる。しかも高度成長期に鉄塔が多く建てられたのだが、それらが老朽化するわけで、それをメンテナンスしなければならない。高さ100メートル以上の鉄塔に、重さ10キロの装備をつけて登っていき、メンテナンスをするのだ。高い所に登っても大丈夫な人であり、重い装備を持てる筋力が必要。しかも風が吹いても対処できる体幹も、必要になってくる。富山県の南砺市にある電気工事のこの会社は、慢性的に人手不足だった。この会社はそれを打破するために、1億円を投資して「壁」を作ったのである。壁?‥壁ってどういうこと??会社の一部を囲うように、高くデカい壁を作ったのである。それは、スポーツクライミング用の壁だった。まず高さが克服出来る人であることが条件になるこの会社は、クライミングが趣味である人(クライマー)を採用したのである。この目を惹く宣伝効果は抜群で、普通に募集をかけても来なかったのがウソのように、人が集まってきた。1億円を回収するのは大変だろうが、今後人集めは楽になるだろう。趣味がそのまま仕事になるというわけだから、クライミングが趣味の人にとっては、悪くない職場になるだろう。専門家は、この不思議な求人を出さなければならない要因に、企業の知名度の差を挙げている。特に地方や企業間取引の会社は、いくら事業が好調でも、世の中の目に触れる機会がないので、社員募集には苦戦してしまう。自社独自のユニークな採用を行なうことで、世間の注目を集め、知名度を高めて人員を確保する‥という流れが必要なのである。趣味が実益になるなんて、とても楽しい人生が送れると思う。その反面、趣味を仕事にしてしまうと、趣味である楽しさが、無くなってしまうと感じる人も居るだろうと思う。でも、自分を生かす仕事には違いない。そういう自分を生かす仕事が、この世の何処かに存在しているが、それを探しきれていないのかもしれない。少し視野を広げて、世間を見つめ直すのも、良い方法だと思う。