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カテゴリ:絨毯屋の仕事
トルコとの貿易シリーズ(!? ちょっと大げさ・・・・)
実際に作業することを前提に、どうでもいい専門的なことや、ややこしい話は抜きにして、誰にでも理解してもらいやすいように書くつもり。だから簡易化したり省略している部分あり。 第1回「トルコへ来て、いろんな場所で絨毯、キリムを買って、それをまとめて送る場合。」 仕入れ目的で、もしくは個人の趣味でトルコの各都市をまわり、絨毯屋で絨毯、キリムを買う。 持ち帰れる量ではないので、送りたい。 UPSやDHLの国際宅配便を使うと簡単だけど、重量が100KGを超えるし、もっと安くあがる送付方法はないかな・・・・と思ったら、トルコから輸出、日本で輸入するという手がある。 目安として150KGを超える場合は、トータルで輸出の方が国際宅配便より得をする。 まずは国際宅配便UPSで日本へ送る場合(輸出手続きはとらない場合)を説明しよう。 購入した店、もしくは個人に頼むことができるが、商品が揃ったら、UPSを呼んでもらう。 商品はドアから運んでくれて、梱包をする必要もない。 あとはプロフォルム・インボイス(正式なインボイスではなく、この場合、UPS独自のもので、送り主、受け取り主の住所、電話番号、名前、商品の原産地、商品名、単価、数量、合計金額などを書くもの) と送り状に住所、電話番号、名前、サインを書くだけである。 店で購入したという8パーセントの付加価値税を支払ったという証明になる正式インボイスも博物館鑑定(正式な名称は国外持ち出し許可証)も不要である。 具体的な送料は弊社のホームページの「トルコでお買い物」のページに送料に関するお知らせ&リストのページがついている。そこにも書いてあるが、200P(KG)で1798ドル(約21万6000円)である。 これだとトルコの絨毯問屋で卸価格で買うことを考えると、商品価格に対して送料の割合がかなり高くなってしまう。 でも送付後1週間前後で日本の住所まで届けてくれるし、日本で支払うのは関税と消費税ぐらいのものである。スピーディーで簡単である。機内で配られる別送品の書類を記入しておけば金額にもよるけど、関税はほとんどないと思っていい。 そして以下がいわゆる輸出、手間はかかるけど、トルコから輸出手続きをとってもらう場合。 まず、インボイスを切ってもらう輸出業者を見つける(例えばミフリ)。 ミフリは絨毯屋だけどこの場合は絨毯屋であることは忘れて、輸出業者として考えてください。 絨毯、キリムをミフリ以外の数店から購入し、バラバラに輸出するにはそれぞれの分量が少なかったり、その絨毯屋が輸出業者でないので許可がなかったり、店ごとだと費用がかかるので、とりまとめて送りたい・・・などという場合である。 まず、ミフリ経由でミフリ名義で国内の正式インボイス(税務署認証のファトラ)を切ってもらう。ファトラと金額と一致する金額(送金手数料は別)を銀行経由でミフリ名義の口座(もしくは窓口)から店名義(会社名義、個人事業所の場合は代表者の個人名義)の口座に送金をする。 各店から集めたファトラをもとにミフリがとりまとめたインボイスを切る。 このときに購入した金額を上回る金額、つまり儲けをつけた形で切らなければならない。 トルコの場合、購入金額を下回る金額で販売できない。(ファトラを切れない) ファトラは海外向け、輸出の形で切る。 正式に輸出する場合は、このファトラには付加価値税8%は記入しない。 次に博物館鑑定をしてもらう。 この博物館鑑定、用語の使い方から絨毯、キリムのモノとしての鑑定と誤解されることが多いが、これはそんなたいそうなものではなく、単なる「国外持ち出し許可証」である。 トルコでは骨董の持ち出しを制限している。博物館の学芸員が鑑定するのであるが、ほとんどが専門家ではないので、年代、産地などはわかっていない。つまりキリムのプロフィールを鑑定するわけでないということ。 キリムのサイズを記入し、特徴として赤色にいろんな色のモチーフとか書くぐらいである。 ところでこの前まではこの鑑定にも料金が必要で、事前に銀行に地元の博物館宛てにウールの絨毯、キリムであれば1点につき500円程度を振り込んで、それからサイン入りの嘆願書とともに博物館にキリムを持ち込み、針金でつけた鉛のチップに刻印をして、国外に持ち出ししてもいいですよ、という内容の書類を発行してもらうという手順になる。 25枚を超える場合、(超えなくても量が多いと思われる場合)は来てくれる。 その場合でも自力では来てくれないので、クルマでお迎えにあがり、クルマで博物館までお見送りをしなければならない。 クルマがない場合は慣例としてタクシーを用意する。 それが現在、博物館鑑定はいっさい無料になった。 理由は輸出の妨げになるから・・・である(と思う)。 以前から、私もこの鑑定、もしくは鑑定費用がなくならないかと思っていた。 例えばコンテナでキリム、その他のものを送ったとき、1点1点に鑑定をつけなければならない。 鑑定そのものは構わないとして、点数が多くなると費用がバカにならない。 キリムが300点、陶器が500点となれば300点×500円=150000円、陶器が500点×300円=150000円、鑑定だけで30万円になる。 結果、輸出しづらい、売りづらいという悪影響がでるのである。 一時期、この鑑定を廃止して、輸出を簡単にしようという動きがあった。 その一段階として、新製品には鑑定を必要としない、というルールができた。 博物館としては新しいキリムなら必要ないという認識であるが、今度は税関の方で「オレにはこれが新しいキリムか、古いキリムがわからない」と、結果的には全てのキリムに鑑定をつけなければならないのが慣例であった。 だから結果は変わらず、それが、今回、無料になりました。というお達しで、ずいぶんラクになった。その分、学芸員はあまり楽しそうでない。 鑑定費用は学芸員のお小遣いになっていたので(だから量などによって値引き交渉もできた)、ただ働きしなきゃならないというのでふてくされている人もいないわけじゃない。・・・っていうか、高い給料もらっているんだから、当たり前だと思うのだけど、お金をもらうことに慣れてしまうと、なかなかそうは思えないというところだろう。 話がだいぶそれてしまったが、博物館が発行する国外持ち出し許可書を入手する。 販売店の国内ファトラ、輸出業者の国外ファトラ、国外持ち出し許可証、ミフリから販売店への銀行送金証明書が揃ったら、飛行機の予約である。 飛行機の場合、1KGあたりの送料が2~4ドルぐらいである。飛行機会社や時期により異なる。 最後の飛行機輸出では1KGあたり、保険料込みで3ドルぐらいだったので、100KG送ると300ドルである。 コンテナだと割安で、先日聞いたので、20フィートでアンタルヤから横浜まで1200ドル、40フィートで1960ドル。アンタルヤ港を出て、イスラエル、中国経由で日本へ35~40日で到着する。 20フィートでも十分大きく、自家用車1台入る。 飛行機の場合、予約の際に重量とカサで場所をキープしなければならないので、その前に梱包とチェッキリストを用意する。 梱包は飛行機での輸出では、絨毯やキリムの場合、それほど難しくない。持ち上げられる程度の重量(30KG前後)でまとめ、紐でしばり、ナイロンの袋を二重にしてそこに入れればよい。 これがコンテナとなると、置かれる場所により波をあびるので、濡れないような梱包をする。1か月から2か月かかる可能性も考慮し、防虫剤なども入れたりする。 チェッキリストは梱包ごとの内容を記載したもので、キリムが○点、○平方メートル、梱包込み重量○KG、現物重量○KGといったことを書く。 飛行機の予約ができたら、通関業者に手続きを依頼し、指定の時間に空港の通関へ持ち込む。 送ったあと、日本の通関業者に輸入の手続きを依頼する場合は、コンチメント(AWBとか)とファトラ、場合によってはチェッキリストをファクスしておく。 通常は翌日、翌々日には日本に到着しているので、手続きがあまり遅くなって余計な支払いが発生しないように配慮する。 日本では通関業者に依頼した場合はその費用、関税、消費税、住所までの送料がかかる。 やはり個人使用目的であれば、別送品扱いができるので、帰国の機内で書類に記入しておく。 帰国後、ミフリのファトラの金額をミフリの会社名義の口座に振り込む。(送金料は別) 忘れていたが、輸出時に原産地トルコの証明書になるフォームAも制作してもらう。これで日本での関税が安くなる。 これで終了である。 本人がトルコにいる場合はもちろん、日本にいながら商品を購入した場合も同じことがいえる。 違いは関税が免除される特典のある別送品扱いができるか、できないかだけである。 あとは自分でできない分、博物館鑑定、梱包、配送などで人件費がかかる場合がある。 200KG分のキリムを送ったとする。 飛行機送料が 200KG×3ドルで600ドル(保険込み)。 国内銀行振り込み料が1.50YTL(約1ドル) 通関費用(諸経費込み)200ドル~400ドル 空港までの配送料20ドル 博物館鑑定 無料 持込などの費用10~20ドル 梱包30ドル ファトラに加算されるミフリの手数料 10%(仮) 合計1000ドルぐらい・・・? 日本でかかる費用 銀行への振込み手数料 4000円+30ドル(経由銀行がない場合は20ドルまたは25ドル) 通関費用、関税、消費税 このまえ130KGのキリムを送ったときは3260ドルCIFで35000円ぐらい。 200KGになるとUPSで送るよりは400~500ドルは安くあがる。 でもその分、手間も時間もかかるわけである。 以上は絨毯、キリムなどの場合で、これが陶器、家具などになると、配送費用、梱包費用が大きくなる。梱包費用は梱包材料はもちろん、人件費が発生してくる。 というのも陶器なとの梱包は放られることも考えて、十分な包装をしなければならないからである。 コンテナで送った例でいうと、1点1点をプチプチで包装し、ダンボールの中に発砲スチロールの板を入れ、ダンボールの大きさにあわせた木箱を作る。 それで500点のうち、3点の破損ですんだが、飛行機の場合、扱いがさらに雑である。 そして過去では陶器でも1点、1点博物館鑑定を必要とした。 人手と時間とお金のかかる作業である。 ・・・・・と話がまたそれてしまったが、それほど、いろんな作業を平行してすすめていかなければならないのである。 1つでも忘れたり、省略すると税務署の罰則があったり、貿易として成り立たなかったりする。 とにかく通関すること、のちに国内税のとり戻しのための書類を不足なくそろえておくこと、商品の間違いがないこと。 ・・・・・結論から言うと、買ったあとに各店のファトラや、銀行振り込み証明を手に入れるのはは困難である。 トルコで仕入れ、個人の収集などで絨毯、キリムを買い、30点とか150KG分とか、それ以上とか、輸出手続きで送りたいとお考えの方は、購入前にまずご相談くださいということである。 ミフリで買う買わないは全く問いません。問題なしです(ミフリ社長は他人の商売には全く無関心である)。 長くなったので、いったん終わりにする。 次回はミフリから直接、絨毯、キリムを買った場合の話と、そのほかの雑談。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年09月26日 15時54分44秒
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