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カテゴリ:絨毯屋の仕事
トルコへ来た知り合いが、言っていた。
「トルコでは民族衣装着ているかと思ったら・・・・みんな普通の格好している・・・・」 イスラム風の全身を覆うようなコートや、トルコ帽でも被っていると思っていたのか、だぶっとしたパンツ、シャルワルでも履いていると思ったのか・・・・。 日本となんら変わりのない服装をしているわけで、半ケツのパンツの下げ方といい、女子高校生のスカートの短さといい、日本となんら変わらないわけで・・・・・。 民族的な、伝統的な手工芸というのをテーマに私の商売があるのだが、それは現在のトルコというよりは、過去のトルコを探す旅とも言っていい。 私の得意はキリムである。それは10年にわたり、トルコの各地へ出向き、織り手やその子孫を通して、見聞きしたデータを持っているからである。羊の毛質から、糸の縒り、染め、織り、モチーフなど。村や地域の環境、女性たちを取り巻く環境、それらを織りものへ織り込めた気持ちとともに考えて、いろいろ想像するのが楽しいのである。 キリム以外にも、なんでも見たものには興味がある。 商売にもするけど、個人的に集めて喜んでいる。 そのいくつかを紹介したいと思う。 今回は「イーネオヤ」。 最近は日本でも広く紹介されるようになったが、ぬい針によるレース編みのことである。 一般的なレース編みはかぎ針で行われる。 ぬい針はさらに細い糸で細かい作業ができるので、できあがった作品がとても繊細である。 また細かい結び目ができるので花などの立体的なモチーフを作れるのも特長である。 その分、難しいテクニックでもあるので、レース編みをしている人がイーネオヤをできるかというとそうではない。トルコでも一部の地域で、特定の人たちによって編まれていたし、現在もテクニックを知っている人は限られる。各地の市民講座でトルコ人向けにイーネオヤ講座が開かれるほどである。最近は生活に必要なものとしてではなく、あくまで趣味の手作りに変わってきている。 画像は、ちょっと昔のイーネオヤ。シルク糸を使い、地域ごとの特長を捉えたものである。 一般の家庭からの持込品であったり、見知らぬ家を訪ねて譲ってもらったり、村民バザールの片隅で売られていたものを集めたものである。以前は立体的なオヤも出たが、今では平面オヤを見つけるのがやっとである。 これらも以前のように数があるわけではないので、見つけただけ幸運である。 新しいイーネオヤとの差は、糸やテクニックの差であるが、古いものと新しいものには絶対的な「雰囲気」の差がある。これはイーネオヤに限らず、キリム、絨毯、その他のものに共通していえることであるが、トルコ語風にいうと「ハワ」があるか、ないか・・・・。 今年のはじめ、とあるエーゲ海地方の村民バザールに探しにいったとき、イーネオヤももう終わったな、と感じた。その以前はオヤのみの一角があり、村の女性たちが自分のものや近所の家から集めたオヤを売っていた。数はあったし、またいろんなものがあった。値段も今に比べたら、手ごろであった。 その当時、集めた人は当時500~2000円ぐらいで買ったもので、今では20000~50000円で取引されているものを持っていると思う。 今ではイーネオヤに限定すると、観光地の土産モノ屋でも売っているような現代ものしか見つからないし、古いものではいいものがないのと、いいものはあっても高くて手がでない。 ほんの一部であるが、オールド品のイーネオヤを載せてあるのでご覧ください。 トルコキリムの店ミフリ&アクチェ/現場からの報告~花嫁のイーネオヤ トルコキリムの店ミフリ&アクチェ/オールドイーネオヤ ミフリ社長の個人ページミフリエル/イーネオヤ ミフリ社長の個人ページミフリエル/立体オヤ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年12月03日 20時01分54秒
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