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絨毯屋へようこそ  トルコの絨毯屋のお仕事記

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2007年05月02日
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カテゴリ:日本語講座
朝、日本語講座の教室に生徒たちのあとに入ろうとしたら、いつも開けっ放しのドアがなぜか閉められている。
おい、おい私を閉め出してどうするつもりなんだ・・・・と、ドアを開けて教室に入ると、生徒たちがなにかコソコソ相談しあっている。
「なんでもありません~、せんせい」と生徒たちが言うので、私もそのままにしておいた。

さて、午前の授業が終わって12:10。さあ、みなさん終わりですよというときになっても、なぜか誰も席をたたない。
その前に生徒の二人が授業終了30分前に「せんせい、どうしても大切な用事があって、ちょっと出かけていいですか」というので許可したところだったけど、その二人の生徒も帰ってこないし、いったい何をコソコソやっているのだろう・・・・と思っていた。

「さあ、昼休みだから教室を出ますよ」と言っても、誰も出ない。
「せんせい、ちょっと質問があります」とか、「ちょっと座ったらいいじゃないですか」とか、わけがわからない。
なにか計画しているのはわかったけど、今日は私の誕生日じゃないし、なんか記念日だったかな・・・・と、でもまあいいや、と生徒たちにあわせた。

日本語講座の教室のある建物の同じ敷地に郊外型の大型スーパーがある。
なかにファーストフードコーナーなどもあり、私たちは昼休みはそこで過ごす。
10分ほどして教室を出て、そこのテーブルに生徒全員に座らされて待っていると、授業中に抜け出した二人の生徒が手に大きな包みを抱えてやってきた。

「せんせい、これみんなから、ほんの気持ちです」と、渡されたのは電子レンジであった。
なんで電子レンジ・・・!? と思って、前回の授業を思い出して笑ってしまった。

動詞+istemekの構文で、それぞれに例文を作らせた。
食べたい、飲みたい、行きたい、したくない、来たくない、座りたくない・・・・などである。みんなの願望がそのままあらわれた例文になったが、最後に
「せんせいは何をしたいですか?」
との質問に「そうねえ・・・・・」と、思いつくこともなかったので
「私は電子レンジを買いたいです」と、答えた、のを思い出した。

トルコに来て15年近くなる。
電子レンジのない生活を送ってきた。
日本にいると電子レンジっていうのは、ごく当たり前にあるものだったけど、トルコではなぜかあまり必要と思ったことはなかった。
料理を頻繁にしないせいもあるし、そのまま温める食事をしないからだと思うけど。

でも確かにご飯があまったときには温めるのに電子レンジがあったらいいな・・・ぐらいには思っていた。忙しいときの冷凍食品の温めとか・・・・。
ただトルコでは電子レンジは身体に悪い、と買わない人が多い。
私も買おうと思ったときにはそう言われて、なんだか買わずに来てしまったのである。

というわけで15年の間、電子レンジなしの生活を送ってきたわけであるが、生徒たちからのプレゼントで電子レンジ生活に突入することになった。
いや、待てよ。ただでさえ手抜き料理で、食生活が貧しいのに、これじゃますますチンするだけの生活になってしまう。

その前に、なんで今ごろプレゼントなんだろう・・・・って。

「せんせいが電子レンジ買う前にって思ってだよ」というのが生徒たちの返事であったが、
生徒たちの気持ちを素直にありがたく思った。

最近、生徒同士で話をしているのが「日本語講座に来て生活や人生観が変わった」ということである。
日本語講座の勉強そのものというより、ここで出会って、生徒たちはお互いにとてもよい関係を築いている。
利害関係のない間柄で、しかも気の合う同士が集まって、ピクニックや勉強会なども楽しくやってきている。個人でも友達になって普段から行き来をしている人たちもいる。

「日本語講座に来る前は、毎日が退屈だったし、何もなかった。でもここで友達ができて、授業に来る日が待ち遠しいって思うようになった」
「将来の希望もなくて、なんとなく過ごしてきたけど、今は話合える友人がいて、悩みを打ち明けあったり、これからのことにも希望を持てるようになった」

生徒たちが口々に今の気持ちを語った。
私は人生は自分の本来の居場所を探し求める旅だと思っている。
最終的な居場所はどこかわからないけど、そのときそのときに自分の居場所があるということはとても大切だと思う。
彼らも自分たちの居場所を求めて、挫折して失望して、今、もしかしたらここが現時点での自分の居場所かと思えるところに来たのだろう。
気持ちはわかる。
私も商売抜きでつきあえる友人たちを得たし、生徒たちはこの国で誰もいない孤独な外国人である私を家族のように面倒みてくれるので、とても感謝している。

生徒たちもお互いにそう感じているようで、あと5回の授業で講座が終了するということもあり、感傷的になっているのかもしれない。
「講座が終わっても定期的にみんなで集まろう」と誰かがいいだして、私もこの出会いは大切にしたいと思いつつ、期待もせず、かといって否定的になることもなく、ただ言えるのは、日本語講座の講師をやってよかったなあ・・・という気持ちである。

生徒たちの独占欲やらわがままやらにも振り回されたし、ついこの間はそれに一喝いれたばかりだし、早く講座が終わってくれないかな、って思ったこともないわけじゃない。
でも授業最後の日は、いろいろ文句を言いながらここまで来たけど、私が一番感情的になって、きっと泣いてしまうのだろうな・・・今からそれが頭に浮かぶ。

講座は5月下旬から夏休みになり次回は9月に生徒募集と登録で、授業は10月からになる。

というわけで夏は本業に専念させてもらいますよ~。
まずは地方のいくつかの村民パザールに出かけて、手仕事モノをかき集めてくる計画・・・・って、これは本業なんだけど仕事というより個人的な欲望だけじゃん・・・って。
でもいいもんね、それが私の生きる力であり楽しみなんだもん。





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Last updated  2007年05月04日 00時57分15秒
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