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カテゴリ:アメリカ映画
選択肢は無限。
ただ、どんな人生を選んでも、 得るものと失うものがある。 1953年の秋。 美術教師キャサリン・ワトスンが、 カリフォルニア州から ニューイングランドに向かっていた。 米国一保守的と呼ばれるウェルズリー高校に、 美術史の助教授として赴任するためである。 2003年マイク・ニューウェル監督作品。 政治や経済だけでなく、 今なお、多くの社会において、 女性は少数でしかない。 だが、かつてはもっと、 女性の人生の選択肢は限られていた。 キャサリンの夢の基盤には、そんな時代背景がある。 “自立する力と、進歩的な教育を与えたい” だが授業初日からキャサリンは挫折する。 学生たちは完璧な予習で、教科書通り質問など、 教えるまでもなく答えてしまう。 “女性の理想は、良き妻になること” 不必要な思想を彼女たちは受け入れない。 伝統を重んじる学校の体制も、 キャサリンを排除しようとしていた。 それでも彼女は根気強く自分の教育を続けた。 生徒達は別の選択肢を見た。 夢を持つこと。自分の足で立つこと、 なおも恋をし、決断に苦しみ、悩みながらも、 自分らしく生きていこうとすること。 選択肢はそれだけじゃない。 他にもあるのだ、無限に、無限に。 ただ、何を選択しても、 得るものがあると同時に、 失うものあるというだけだ。 優等生のベティは親に言われるまま、 ハーバード大学生の男と学生結婚する。 プライドの高い彼女の自尊心は充たされたが、 愛情のない結婚に心は揺れる。 法律家になる夢を持つジョーンは、 キャサリンの助けをかり、イェール大学に合格するが、 好きな男性とともに夕食を食べる毎日を選ぶ。 妻子ある男性と恋を 愉しんでいるかのようなジゼルも、 素直にはなれず、葛藤が続いている。 それらのエピソードの一つ一つが、 どれかあてはまり、何かが違う。 観る側もまた、彼女たちと同じように、 何かを失い、何かを得ているのだ。 無限にある選択肢。 その一つを掴み取り、歩き出す。 別の道を歩く者、違う道を歩く者、 正しいとか、間違っているとかではなくて、 みな、何かを失い、何かを得るだけのこと。 モナリザの微笑み。 まなざしの妙味、うっすらあけた唇、 謎多き微笑みの理由の解釈も無限。 キャサリンもまた、 一つの大きな選択を迫られる。 愛着のある生徒達と離れ、学校を去るのか、 自分の授業方針を変え、居続けるのか。 彼とも別れた彼女は、今、一人、 自分の意志で、選択肢を掴みとっていた。 何かを失い、何かを得ているのだ。 去っていくキャサリンの車を追いかけて、 自転車で生徒達が追いかけてくる。 生徒達との別れの代わりに、 何物にも変えがたい「絆」を彼女は得る。 だからこそみんな、 笑みを浮かべている。 キャサリン、生徒達、みんな、 それぞれの笑みを浮かべていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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