テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:イギリス映画
昔は、ステージの真ん中で、
メンバーの誰よりも注目されていた。 今は、鏡にうつった自分を ぶっ壊したくなっていた。 長髪のロックミュージシャン、レイ。 もう50歳に手が届いたか。 “ストレンジ・フルーツ”の かつてのボーカル、 最後の2年だけ、だったが。 あれから20年。 キーボードだったトニーに、 “ストレンジ・フルーツ”再結成の話が。 解散のきっかけとなった ウィズベックの野外コンサートに誘われる。 この時彼の職業は、 コンドームのセールスマンだった。 絶頂期の“ストレンジ・フルーツ” ヴォーカルのキースは人気があった。 兄のブライアンはギターの天才だった。 だが、二人とも酒とドラッグでいなくなった。 レイが加入して、ほどなく、 時代の波は彼らを見捨て、忘れ去った。 メンバーのほとんどが、 ロックから離れた場所にいた。 ベースギターは屋根職人で、 ドラマーは、トレイラー住まい、 税務署に追われてるヤバイ生活。 マネージャーだったカレンは、一人娘を抱え、 退屈なホテル勤めを続けていた。 かろうじてミュージシャンなのは、レイのみ。 皆が再結成の話に飛びつけたわけでない。 だが、全員が、再結成に集まった。 いざ集まってみれば。 音はバラバラ、ボーカルは身勝手。 客は新加入の若いギタリストのみを注目する。 湿った空気、ただ広いなだらかな丘、 そして、古い建物とイギリスの匂いを感じさせる。 旬をとっくに過ぎたロッカーたち、 情けないほど中味のない自己主張を繰り返し、 ケンカの連続だが、なんだか可笑しい。 だが、地方まわりのステージを繰り返すうちに、 彼らのロック魂はドンドン戻ってくる。 俳優たちのステージングもまた、いい。 ロートルロッカーに向けられる周囲の嘲笑をよそに、 ブライアンの復活もまじえ、 ウィズベックの野外コンサートは大成功となる。 最初は錆び付いたロックだった。 それが見る間に、カッコヨク熱くなってゆく。 若さだけで突っ走り、解散した“ストレンジ・フルーツ” とうに若くなくなってしまったが、 彼らには、紆余曲折、個性豊かな人生がある。 そういうものが音楽をカッコヨクする。 まだまだ、ロックである限り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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