テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:アメリカ映画
メル・ギフソンが踊っている。
NY、夜の都会、シナトラのレコード。 優雅で軽やか。 映画の中で、彼は、 何度も踊る、小気味よく、洒脱に。 大手の広告代理店勤務のニックは、 今度こそクリエイティブ・ディレクターに 昇進できるかと思っていたのに、 その座を、ヘッドハンティングされた、 ダーシーに奪われてしまう。 購買の主導権は、女性にある。 女性の心理を見抜くのは有能な女性に。 ニックとしては、腹にすえかねる。 高給取りで、女性にだらしない。 妻にも愛想つかされ、娘とともに出ていってる。 おまけに仕事で認められない。 ドン底かと思われたニックに備わったのは、 女性の心理がわかる能力。 せっかくだから、仕事に利用する。 主な目的はダーシーの仕事の妨害のようだ。 演出が小気味よく、 突拍子のない設定をうまく現実につなげる。 ナンシー・メイヤーズ監督は、 メル・ギブソンにパンストを着用させた。 ブラジャー着用、むだ毛取りまでも。 女性用の製品の広告のための研究である。 鏡の前の自分を見ながら、 ニックは実感する。 「女性は、こんなものを・・・」 窮屈で面倒くさく、少し、痛いのだ。 テンポの良い笑いがあって、 ニックの得た能力につながっていく。 出会う女性の心の声が、 ナレーションで語られる。 女性も男性のナイズバディを観察してるのだ。 男性だけじゃないのである。 オフィスでひっそりと仕事する、 目立たない女性スタッフの懸命な気持ち。 別れた奥さんの、本当の気持ち。 なかなか誘いにのらない コーヒーショップの彼女の 密やかな気持ちや、ホントの本当に、 なあんにも考えてない秘書さんもいる。 いろんな声が聞こえまくって、 悲鳴をあげるニック。 共感を無理に誘わずに、 テンポよく笑わせてくれる演出が愉しい。 ダーシーとの確執。 彼女はニックの自己中心的な性格を見抜き、 ビジネス上、格下に見ている。 案の定、ニックは能力を使って、 彼女の仕事を妨害していたりするのだ。 だが、ダーシーの本音に、 ニックは大切なことに気付いていた。 「誤解」があったのだ。 男性が女性を理解する、 そして逆もまたありえない。 わかりあえたところで、 事態が好転するわけでもない。 だが、誤った理解があれば 人と人との距離はおのずと遠ざかる。 愚かで無駄な争いは「誤解」から生まれる。 もちろん広告なんて 作れるものじゃない。 ニックとダーシーは協力して、 プレゼンテーションを成功させる。 クライアントは「ナイキ」である。 広告として現実に評価の高い実在の会社が登場し、 設定の突拍子なさを払拭し、現実に近づける。 二人の関係が近づいたのは、 ハリウッド映画的お愛想だとしても。 ダーシーを演じるヘレン・ハントが好演。 型にはまったキャリア・ウーマンではなく、 仕事と自分に対して忠実な女性像が見える。 それにしても、 踊るメル・ギフソンである。 優雅で、軽やか、軽妙で、小気味いい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|
|