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カテゴリ:アメリカ映画
自転車に乗って近づき、
唐突に暗殺を実行し、素早く去っていく。 アイルランドにおけるイギリスの抑圧は長い。 その度に夥しい血が流されてきた。 1916年のイースター蜂起の後、 処刑を免れたマイケル・コリンズ、 もう、手続きを踏んだ反乱では、 アイルランド独立は考えられないようだった。 イギリスはアイルランド義勇軍を潰すため、 Gメンを送り込んでいた。 コリンズは、仲間に命じて、 Gメンを一人ずつ暗殺してゆく。 殺すか、殺されるかの状況。 だが、コリンズの戦術は的確だった。 イギリスに与えたダメージは大きい。 モノクロームの映像、 ニール・ジョーダン監督は、 歴史を再現しようと試みている。 例えば、義勇軍の暗殺シーン。 暗殺する側もされる側にも特徴がない。 観る側は物語として善悪を判断できないのだ。 家族や友を持つ、普通の人間が、 普通の人間に殺されている。 弾圧の歴史、宗教の問題は明白だが、 多くの血が流れた「事実」の方を 取り上げているようにさえ見える。 コリンズがゲリラ活動を続ける間も、 アイルランド共和国大統領のデ・ヴァレラは、 交渉を重んじ、コリンズの方法を否定していた。 だが、ヴァレラのかざす理想は失敗を続け、 コリンズの活動は成果を上げていた。 イギリスに対し戦っていた同志はずが、 組織内部で、内紛が勃発する。 コリンズは成果を上げた。 だからこそ、イギリスは交渉のテーブルを持った。 しかし、彼の選んだ方法は「暗殺」。 現代にも通じる難しい問題が浮かびあがる。 テロリズムが無くならないのも、 その成果がある故なのか。 だが、コリンズは方法を転換する。 南北分裂での独立という条件を飲む。 これまで流されてきた血が多すぎた。 もう、戦争はしたくないとの願いを込めて。 だが、ヴァレラはそれを許さない。 南北アイルランドの完全な独立のため、 戦争は辞さない構えである。 内紛と、コリンズの暗殺。 ニール・ジョーダン監督は、 歴史を再現しようと試みている。 その血の歴史の上に、 アイルランドを舞台にした多くの作品は、 成り立っているのだと改めて感じる。 31歳で散ったマイケル・コリンズ。 リーアム・ニーソンは、 年齢の違和感こそ大きいが、 複雑な内面を背負った人物ははまり役のようだ。 デ・ヴァレラを演じるのはアラン・リックマン。 重要な役を手堅く演じる姿は、 名優であると感じさせてくれる。 コリンズの友人ハリーはエイダン・クイン、 彼の死は内紛の愚かさを指し示す。 華をそえるのはジュリア・ロバーツ。 コリンズ、ハリー二人に愛されていた。 夥しい血が流れている。 イースター蜂起の後、アイルランドの指導者たちは、 次々と一撃で処刑されていく。 銃口を額にあてられ、祈る時間しか与えられず 暗殺されるGメンたち。 マイケル・コリンズもまた銃弾に倒れる。 流された血は、勝利ではないのに。 今までなんと多くの血が 流され、流され続けていることだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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