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カテゴリ:アメリカ映画
2022年、世界の人口は
爆発的に増加していた。 ニューヨークだけで、人口4000万人。 2002年の資料では808万人とある。 街に建物に折り重なるように 人で隙間なく埋め尽くされたこの作品の映像は、 数字以上に異様な光景を表している。 1973年に描かれた約50年後の近未来、 人々は食糧難に苛まれていた。 ソイレント・グリーン、 海の養殖場で育てられたプランクトンから、 画期的な固形食品がソイレント社から作られた。 チャールトン・ヘストン演じる刑事は、 高級マンションで殺された富豪が、 ソイレント社の委員であったことから、 ソイレント・グリーンの原材料が、 人間であることを突き止める。 人が人を食さねば生きていけない近未来。 その可能性はもはや映画として、 驚愕の事実にはなりえない。 鳴り響く、ベートーベンの『田園』。 真実を刑事に知らせるために、 死を選んだ老人は、過去の記憶の中に沈む。 彼は知っている、 地球がまだ、 豊かな自然に満ちていた頃のことを。 自然は人とともにあり人を生かしてくれた。 だが大気汚染で煤けた空、 緑豊かな大地も植物も昆虫も 水のせせらぎも海も存在しないのだ。 人間以外の動物も存在しない。 地上にはただ、人間が溢れているだけ。 溢れている人間。 そうだ、豊作で余った食料が 流通にのらず廃棄されることもある現実、 溢れた果物、溢れた野菜と同じように、 溢れた人間は、ソイレント社に送られるシステム。 体制に逆らう者、不要な者、老いた者、 選ばれぬ者たちが、食料になる。 地球環境問題が深刻になっている。 人間の都合で発達した技術は 何を犠牲にしているのか。 人間だけが残ってしまった近未来、 そうなれば、人が人を食することは、 もう、驚愕の事実にはなり得ないのだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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