テーマ:最近観た映画。(40095)
カテゴリ:アメリカ映画
傾いた家に、傾いた部屋。
空の見える屋根の下で チャーリー・バケットは暮らしていた。 誕生日だけ買ってもらえるチョコレートには、 ゴールデン・チケットは入ってなかったけれど、 おじいちゃん・おばあちゃん2人づつ、 お父さんとお母さんの計7人で、 チョコレートを分け合って食べていた。 それは一つの幸せの姿だろう。 ウィリー・ウォンカ氏のチョコレート工場は、 従業員が解雇されて久しかったけれど、 最近、煙突から煙りがモクモク。 製品は世界中に出荷されている。 そんな秘密の工場への招待券は5枚。 子どもと大人、各1名の10名が選ばれる。 落ちていた紙幣で思わずチョコを買い すべりこみセーフの5人目はチャーリーだった。 ロアルド・ダールの原作を ティム・バートン監督が独自世界で映像に。 まさしく登場人物のように馴染むのは、 ウィリー・ウォンカ、ジョニー・デップ。 彼に託されたのは、現代社会の闇と、 家族の在り方という大きな課題。 その昔、ウォンカ氏が工場を閉鎖したのは、 彼の秘密のレシピを企業スパイが盗んだため。 ただ純粋にチョコを愛しお菓子を愛し、 たくさんの夢を信じた男は、 自分の世界に閉じこもってしまった。 しかも、彼が招待した子どもたちは、 大人から彼の嫌いなものを受け継いでいる。 際限のない欲望と、自分勝手な欲求、 自己のない競争原理と、薄っぺらな合理主義、 どれもこれも使い方次第では すばらしい未来を導く鍵だというのに。 子どもたちを歌詞に歌い込んで 歌い踊るは、愉快なウンパ・ルンパ。 悪意たっぷりの毒のある歌詞であるはずが、 麻薬のような心地よさ、まさに監督の真骨頂だろう。 招待されたのは5人。 そのうち1人だけ特別賞がもらえる。 1人残ったのは、チャーリー・バケットだった。 だが、家族想いのチャーリーは、 特別賞を辞退する。 「家族なんて、邪魔なもの」 かつて、ウォンカ氏は、 父に、何もかも規制されていた。 両親、と発音できないウォンカ氏は、 歯科医の父の厳格な教育のために、 チョコ作りの豊かな才能を押し込められていた。 際限のない欲望と、自分勝手な欲求、 自己のない競争原理と、薄っぺらな合理主義 生きるためには必要でも、 想像力を萎ませ、人間性を歪めてく。 だが、チャーリー・バケットの家族は、 助け合って笑って分け合って生きている。 傾いた家に、傾いた部屋、 空の見える屋根の下で。 夢のような原色カラフルの映像に くるまれて見え隠れする悪意が心地いい。 愛らしいリスが子どもの頭の中身を検査するあたり、 その眼の中に邪悪な光さえ見えるようだ。 チョコレートは甘くとろける。 だが、食べ過ぎに注意、虫歯に注意なのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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