テーマ:最近観た映画。(40092)
カテゴリ:アメリカ映画
老朽化した広い集団用のバスルーム。
対角線上に二人の男が鎖でつながれている。 太い鎖だ、まるで自由がきかない。 真ん中には血の海に俯せの死体がある。 お互いに自己紹介する。 アダムはカメラマン、 ローレンス・ゴードンは外科医。 まずは冷静に。 何故、こうなった? 犯人は最前列で観覧している。 自分を傷つける男がカミソリワイヤーで自傷し、 仮病で人を困らせる男は引火性ジェルを身体に塗られる。 もっと口を開け、と女の顎は引き裂かれようとした。 そして、アダムとゴードン、 かれらは自由を奪われ身動きできない。 それぞれが暗喩、 恣意的で偶像的な暗喩。 何故、そうなったか? ということが事態の解明にはならない。 もう遅いのだ。 彼らは命を粗末にしている。 では命を大切にするとはどういうことか。 その命とは何なのか。 彼らは命というものの前に引きづり出されていた。 殺人犯はジグソウ。 追うはタップ刑事、シン刑事。 逮捕を目前にして、 彼らもまた命の前に引きづりだされ、 一人は命を落とし、一人は狂気を得た。 ゲームだとジグソウは言う。 生に感謝しない者たちよ、ゲームをしよう。 ゴードン先生、6時までにアダムを殺せ、 でないと家族の命がないよ。 ジェームズ・ワン監督作品。 ケアリー・エルウェズ、リー・ワネルを配して、 異質なシチュエーションの中に、 隙のない構図を作り上げ世界を構築する。 緊張感が画面に漲る。 ミスリードを導く演出にも無理が少ない。 恣意的で余裕たっぷりな暗喩の欠片が、 観る側を鎖でつなぐ。 何故、そんなことをする? 何故、命を粗末にする?生に感謝しない? これで、わかっただろう。 自分を傷つける男がカミソリワイヤーで自傷し、 仮病で人を困らせる男は引火性ジェルを身体に塗られる。 もっと口を開け、と女の顎は引き裂かれようとした。 ゴードン先生は血を流しながら這いつくばり、 アダムは閉じこめられる。 さまざまな模型がジグソウの部屋にあった。 どの模型に誰が入るのか。 まだわからない者たちがいる。 わかっていないことさえわからない場合もある。 命の前に引きづり出されるまでは。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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