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カテゴリ:アメリカ映画
ギルバートグレイプ、
人口数千人ほどのアイオワ州エンドーラで、 母と三人の弟妹の面倒を見ている。 彼は本当に優しい青年だ。 家には250kgを越える母親が、 身動きできず座っている。 知的障害を持つ弟のアーニーは、 眼を離すとすぐ給水塔に登ってしまう。 そういうわけだからギルバートは、 24歳の今まで、町を出たことがなかった。 町を出ようとは思わなかったか。 大型スーパーの進出で客足の少なくなった 小さな食料品店に勤めていて、 その店のお客のご婦人と不倫を続けてはいる。 傍らにはいつもアーニーがいて、 家には250kgを越える母親がいる。 彼は本当に優しい青年だ。 少しぶっきらぼうにも見えるが、 瞳の奥に家族への愛情がちゃんと見える。 そんなギルバートに転機が訪れる。 トレーラーハウスで旅する少女に出会う。 車が故障したのでしばらく町に留まるという。 彼女はベッキー、どことなく、 自由で不思議な雰囲気を持っていた。 ギルバートは初めて目にしたのだ。 自由、というものを。 ラッセ・ハルストレム監督作品。 鮮やかに浮かび上がるのは、 土地に定住する者と世界を放浪する者の図式。 ギルバートの優しさ、ベッキーの自由。 次第に二人は惹かれ合う。 だが、ベッキーの旅は続き、 ギルバートには愛する家族がある。 町を出ようとは思わなかったか。 ギルバートと不倫していたご婦人は、 ギルバートが町を出たことがないから安心していた。 いつか子どもが大きくなったら、 ギルバートのようになって欲しいという。 町を出ることなんて出来ないのだ。 家族がいるから。 いらだちを抑えきれず、 アーニーに暴力をふるうギルバート。 心優しい彼はいたたまれなくなりながら、 ベッキーの胸の中で眠りに落ちる。 だが、二人はもうすぐ、すれ違うのだ。 ベッキーの旅は続き、 ギルバートには愛する家族がある。 ギルバートの優しさ、ベッキーの自由。 変えられぬもの、 変えることが出来ないもの。 しかし、時間というものは。 じんわりと歯車を回し続けているのである。 ギルバートの母の死、 250kgの彼女を人が笑えないよう、 葬儀をせずに、家ごと彼女を燃やしてしまう。 ギルバートグレイプ、 彼は家族を愛しているのだ。 心優しい青年を繋ぐものは灰となり、 彼は解き放たれたのかも知れないが、 それでも変わらずアーニーが側にいて、 優しい瞳で弟を見ているのである。 ジョニー・デップ、 レオナルド・ディカプリオ、 やがて映画の「主役」として輝く二人が、 作品の「登場人物」として真摯に存在する。 スターたちの鮮やかな軌跡と、 豊かな表現力を見ることができる。 解き放たれたギルバート。 再びベッキーと再会する。 人はどこにでもいけるのだ、どこにでも。 そしてどこかで死を迎えるのだろう。 ギルバートグレイプ、 自由というものは、時に、 強さが必要となることがあるけれど、 これからも、どうかその優しい心を忘れないで。 弟に見せる優しい瞳を 失わないでと願うばかりである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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