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カテゴリ:アメリカ映画
途方もない陰謀。
アメリカという国には、 絶えず渦巻いている。 THE MANCHURIAN CANDIDATE 1962年『影なき狙撃者』のリメイク。 原題はそのままながら、 設定を朝鮮戦争から湾岸戦争に変えて、 デンゼル・ワシントンと メリル・ストリープが共演する。 ジョナサン・デミ監督作品。 さすが秀逸なカメラワークと、 不安を誘う画面構成、 陰謀をサイコサスペンスで見事にくるむ。 張りつめた雰囲気に飲み込まれる。 アメリカ大統領選は間近。 1991年の湾岸戦争で英雄的活躍をした レイモンド・ショーが副大統領候補者となった。 柔らかな物腰と人なつっこい笑顔、 戦争の英雄は勲章を得て人気を博す。 上院議員の母、エレノア・ショーが、 強力なバックアップで息子を後押しする。 しかし、レイモンド・ショーは、 とても武勲をたてられる男じゃなかった。 だが当時小隊を率いていたベン・マルコ少佐も、 レイモンド・ショーが活躍したと記憶していた。 部隊で戦死したのは二人だけ、 頭を強打して気絶したマルコに変わり、 レイモンドは部隊を指揮し生還させた。 だが、かつての部下だったアル・メルヴィルが、 消えない悪夢をマルコに訴えた。 乱雑に書き殴られた夢の記憶は、 夢ではなく、彼らが本当に体験したこと。 約一週間。 マルコたちの部隊は、 人生も運命も変えられてしまった。 戦争と密接に結びつく大企業、 真実が暴き出されることにもはや意味はない。 ただ繰り返し描かれることに意味がある。 ジョナサン・デミ監督のバランス感覚は絶妙。 悪魔の所業とも思える洗脳技術が、 現代科学として違和感なく表現される。 マルコはデンゼル・ワシントン、 レイモンド・ショーはリーヴ・シュレイバー、 二人は意志を持った操り人形を演じている ともすればB級になりがちな役柄に、 リアリティを与えてくれている。 かつての作品の時代背景は、 冷戦下である、アメリカの敵は明白。 果たしてこの作品の敵は。 レイモンド・ショーが立候補する前に 副大統領候補とされたのは ジョン・ボイド演じるトム・ジョーダン上院議員。 テロ防止措置を違憲性を唱える彼に エレノア・ショーは弱気だとかみつく。 そんな彼女たちが援助を受けるのが 大企業「Manchurian Global」である。 残念なのは、邦題である。 間違いではないが焦点がぼやけている。 しかも、他の作品と紛れやすい。 戦争では犠牲はつきもの。 マルコ率いる部隊では、二人の戦死者が出た。 だが、死ぬはずのなかった二人である。 THE MANCHURIAN CANDIDATE←アメリカのオフィシャルサイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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