テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:アメリカ映画
華奢な身体に細い首、
ベリーショートの髪を、 器用に手で整えていつもの髪型に。 角張った顔に浮かぶはにかんだ微笑み。 21歳のブランドン・ティーナ。 彼はいつも優しい。 男は女に優しくなれるのだ。 惚れた女なら尚更だろう。 もし女が嬉しそうに笑ってくれれば、 その笑顔は男の戦利品になるのだ、と、 ブランドンを観ていて思った。 性同一性障害。 心の病として名前を付けられても、 病気、というのは彼に相応しくない。 1993年、21歳で ティーナ・ブランドンは殺された。 華奢な身体に細い首、 ベリーショートの髪、 角張った顔に浮かぶはにかんだ微笑み。 胸にきつく布を巻いている。 股間には丸めたソックスを入れて、 男物のパンツを穿いているけれども、 足は白く細くか弱かった。 ヒラリー・スワンクの演技と、 鮮烈で清冽な映像が見る者を巻き込む。 ネブラスカ州フォールズ・シティ。 都会とは程遠い町のバーでブランドンは、 ラナという女性と出会った。 彼女に恋をしてその気持ちは通じて、 やがて二人は愛し合うようになる。 ブランドンの愛撫を受け入れるラナ。 強い愛情で結ばれながらも、 やがてブランドンの正体がばれ悲劇が訪れる。 複雑な家庭で育ったラナ、 もちろん家族はこの恋を許さない。 ティーナ・ブランドンは女としてレイプされ、 警察にも女として訊問される。 男は女に優しくなれるのに。 ブランドンを見れば見るほど思う。 作ってもらった食事はおいしい、といい、 プレゼントを貰えば、心底よろこんだ。 殺される間際まで世話になった女性を庇っていたのだ。 しかもどこかで強くなろうと必死である。 彼が成りたかったのは タダの男性ではないのだ、きっと。 惚れた「女」を幸せにしたい。 そのためには「男」になるしかなかったのだ。 華奢な身体に細い首、 ベリーショートの髪、 角張った顔に浮かぶはにかんだ微笑み。 鏡を見て笑っているブランドン。 ヒラリー・スワンクは少年の姿をしていた。 そして彼女はティーナ・ブランドンにもなる。 男の暴力に屈しざるを得ない女になる。 キンバリー・ピアース監督は、 ティーナ・ブランドンの軌跡を描いている。 事件が抱える社会的な問題ではなく、 彼女が何を思い何を考えたか、に。 視点に偏りを見せぬよう、 しっかりと彼女に支点を据え、 この痛ましい実話に命を吹き込んでいる。 ブランドン・ティーナ ネブラスカ州をでたことがないと言っていた。 本当に出たかったのだろう。 その町から、 その場所から。 愛するラナと一緒に。 「ボーイズ ドント クライ」オフィシャルサイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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