テーマ:最近観た映画。(40086)
カテゴリ:日本映画
仕事も夢も愛情もなんだって、
やりたいようにやってみればいいのだ。 やりたいようにすることと、 上手くやれることは全く別物だけど。 ほら、ホテルアバンティの筆耕係の筆が、 新しい年を祝っている。 サンタクロース人形のヒゲが筆だったけど。 カウントダウンパーティ、 民謡を歌うはずだった歌手は 艶っぽい声で自分らしい歌を聴かせてくれた。 夢を諦めかけたベル・ボーイは まだもう少しがんばろうと決意したばかりで、 その顔は晴れ晴れとしている。 陽気に踊っている客席係の女性は、 元は議員の愛人でシングルマザーだが、 ちっとも辛そうな顔はしていない。 大体、客室にあった客の衣裳を着て、 客になりすまして、誰かの愛人のフリをして、 言いたいことを言ってしまえる女性なのである。 三谷幸喜監督脚本の作品。 ホテルのカウントダウンパーティが始まる、 2時間16分前から物語は始まる。 ホテル側・客側が入り混じって、 本当に入り混じってシャッフルして、 それでも舞台はホテル・アバンティ、 新年は誰の元へ近づいてきている。 申し分のない副支配人には、 若き日の夢を諦めた過去がある。 そのときのゴタゴタで妻とも別れたが、 元妻が別の男性の妻としてホテルに現れた。 この男、ホテルマンとしては優秀だが、 別れた妻にはやたら見栄を張る、滑稽なほどに。 どこか、その場しのぎなのだが。 どこか、その場しのぎ。 見えない未来よりも、その場しのぎ。 副支配人だけでなく、 誰も彼もがその場しのぎのようである。 例えばベル・ボーイの幼なじみの女性は、 盗んだ制服を着て彼の前に現れた。 ホテルスタッフに追い出されたはずの、 コールガールの女性もまた、 熟知の裏口を通って舞い戻ってきた。 その場しのぎ、 その場しのぎである。 カウントダウンパーティの芸人たちの マネージャーはいなくなった出演者の代わりに、 強烈な髪型のまま女装している。 白塗り好きの支配人は、 白塗りをしたままホテルを駆け回り、 人気者の演歌歌手はいつも、 ステージの前は自殺したがるようだ。 それでも、なんとかなるのである。 汚職で窮地にある議員もまた、 なげやりな態度でクロスワードを解き、 自分の人生の選択肢を選びそこねていた。 先のことを考えるか、 スキッとさせるかどうか。 例えば、自殺とか。 その場しのぎかも知れないけれど、 やりたいことなら納得できるのだ、 スキッとするのだ、 スキッとするというのは、 そこに「私」がいると感じることのようである。 それが「私」であると、 申し分のない支配人は 申し分のない仕事をしている。 さまざまな登場人物たちも同じである。 やりたいようにすることと、 上手くやれることは全く別物だけど、 「その場」という「現在」は、 「その場しのぎ」で成り立っている。 だったら、自分らしく。 とにかくいろいろあるだろうけど。 ホテルのカウントダウンパーティ、 新しい年がやってくる、新しい明日が。 とにかくだ、とにかくだけど。 仕事も夢も愛情もなんだって、 やりたいようにやってみるしかない。 とにかく、その場しのぎでも!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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