テーマ:レンタル映画(818)
カテゴリ:アメリカ映画
ジョエルとクレメンタインが、
氷の上に寝ころんで手をつないで星を見ている。 映画の中で描かれる恋は、 現実の恋よりもずっと美しいような気がする。 映画の中の恋も時には愛憎渦巻くドロドロになるけど、 それでもきっと忘れるよりはずっといい。 恋を忘れれば、 恋をしていたときの記憶も消える。 恋をしていた相手も存在しなくなるのだ。 純粋な恋の物語、 恋だけの物語、恋が始まり、恋が終わり、 再び恋が始まる物語。 内向的でしゃべるのが下手で、 ジョエルはいつもクレメンタインに振り回されていた。 赤い髪のクレメンタイン、青い髪のクレメンタイン。 奔放できまぐれな彼女に、 ジョエルはどこかイライラしていた。 自分の我をを通さないジョエルに、 クレメンタインもイライラしていた。 ケンカが絶えなくなり不安ばかりが募り、 猜疑心が生まれついに彼女は彼の元から去ってしまう。 恋に破れた辛さを消すために、 ラクーナ社の手術を受けるクレメンタイン。 「クレメンタインはジョエルの記憶を全て消し去りました 今後、彼女の過去について 絶対触れないようにお願いします。ラクーナ社」 バレンタイン直前にジョエルが受け取った手紙。 愕然と、打ちひしがれる彼がとった行動は、 自分のクレメンタインの記憶も消し去ってしまうことだった。 ハワードミュージワック博士の開発した手術は 一晩のうちに特定の記憶を消し去ってしまうというもの。 手術の夜、ジョエルの家にラクーナ社の技術者が現れ、 彼のクレメンタインとの記憶が逆回転で浮かんでは消えていく。 赤い髪のクレメンタイン、 青い髪のクレメンタイン、 消えていく記憶に彼は待ったをかけた。 愛しいクレメンタイン、 ジョエルはまだ彼女を愛していた。 恋は美しいばかりではない。 ジョエルとクレメンタインも例外ではなく、 ケンカが増えれば、お互いの嫌なところが 思わず口をついて出てくるし、それは、 お互いを知っているから当を得てしまっていたりする。 否定の出来ない罵倒は辛辣で、 しかもそれは愛する人の口から出るから、 当然、辛くなるのである。 秀逸な脚本は、記憶を消す側に、 報われぬ恋を描き、主役の物語を際だたせている。 ラクーナの技師パトリックは、 クレメンタインを好きになってしまう。 しかし彼がとった行動は、 ジョエルの資料をただ真似ただけ。 彼女の好きになった男と同じ男を演じたが、 やはり彼女に振り向いてもらえない。 ハワードミュージワック博士は、 結婚していたが、技師のメアリとできていた。 だがメアリの気持ちは一方通行。 博士と彼女は肉体関係はあっても、 デートはもちろん、ケンカも出来ない。 ジョエルとクレメンタインは。 デートをした、買い物もした、散歩もした。 愛し合ったけれどもケンカもいっぱいいっぱいした。 お互いを知っているから痛烈な罵倒を浴びせあった。 映画の中の恋は現実よりもずっと美しい気がする。 けれどもジョエルとクレメンタインの恋は、 現実の恋と中身は同じ。 愛も憎しみも、恋の中には全部入ってる。 どちらかだけを消すことなんか出来ないのだ。 育むために必要なのは、お互いをさらけ出すこと。 秀逸な脚本はメアリの存在を使って、 ジェエルとクレメンタインを真っ裸にする。 消すのではなく「全てを相手に伝える」という手段をとる。 チャーリー・カウフマン見事である。 美しい映像はミシェル・ゴンドリー監督。 ただ演じるのではなく内面を滲ませる役柄を、 ジム・キャリーもケイト・ウィンスレットも好演している。 都合良く記憶の「パーツ」だけを消せしない。 あれも、これも、全部、彼女、であり彼。 そして、私であり貴方、なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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