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カテゴリ:アメリカ映画
スーパースター!スーパースター!
砂漠に響き渡る歌声は待ち望んだ神を讃えているのか。 救いを求める者たちが彼の回りを取り囲む。 ジーザス・クライスト・スーパースター いつだってそうだ、いつの時代も。 スーパースターの出現を待ち望んでいる。 しかし彼は本当に「神」なんていう代物だったのか。 舞台としてあまりにも有名なこの作品は、 1973年に映画として世に出た。 その後幾つかの作品が物議を醸し出したように、 人間キリストを描いたこの作品も大変な話題だったと聞く。 描かれたのはキリスト最期の7日間。 砂漠にロケバスが到着し、 若者たちによって鉄骨が組まれている。 壮大なロックオペラはそうやって始まった。 そうだ、舞台なのだ。 砂漠という広大な舞台で始まるキリスト最期の7日間。 スーパースター!スーパースター! 細面で繊細な顔をしたジーザス・クライスト、まだ若い。 だが彼の回りにはいつも人が溢れている。 神の愛をとく優しげな青年の回りにはいつも人が溢れている。 人が動くというのは人の心が動くということだ。 ユダヤ教の長老たちや政治家はいらだたしげだ。 だが、ジーザス・クライスト、細面で繊細な顔だちの青年は、 自分の気持ちと民衆の熱狂の温度差にただ苦しんでいる。 それを、彼だけが知っているに見える。 イスカリオテのユダ、裏切り者のユダ、ユダ、あのユダだ。 素晴らしい歌声が砂漠に轟く。 カール・アンダーソンのユダはなんと言ったらいいだろう、 痛々しく切なく、哀しい愛に溢れている。 彼はキリストを思っている。 民衆と同じ視点ではなく、そうきっと、 側にいなくても一番のキリストの親友は彼なのだ、 心の友、魂の友、彼だけがキリストの苦悩を理解している。 最高に難しい役だろう、と思う。 最高に難しい役を歌い上げるカールアンダーソンは、 心から賛辞を送りたくなる。 そしてもう一人。 マグダラのマリアの美しい祈りの歌声。 彼女にとってキリストは愛しい愛しいたた一人の人。 スーパースター!スーパースター! スーパースター!スーパースター! 「神」となる青年は苦悩していた。 迷うのが人なのだ、苦しむのが人なのだ。 極上のロックオペラは禁断の領域を猛々しく進む。 聖書という原作とどれだけ差があるかどうか、 わからぬままでも圧倒されるのだ、 そのエネルギッシュな躍動感に。 わからないからこそ 無意識に「熱さ」を感じて引っ張られる。 神、神。 神となる青年は外の神とどこか違うのか。 受難が彼を襲う。 磔刑。 神とはそのようなものなのか。 愛しい女性と引き裂かれ たっぷりの苦痛とともに死を強制され、 その死の姿に祈りを捧げられる存在となる。 彼は 外の誰とも変わらぬ、 一人の男性なのに。 (そう解釈されることが物議を醸し出すのだろうが) 砂漠という広大な舞台で終わるキリスト最期の7日間。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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