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カテゴリ:アメリカ映画
生まれ落ちた時に押された刻印は、
簡単には消えやしないだろう。 ヴィンセント・フリーマン、 自然分娩で生まれた彼に押された刻印は 遺伝子的に劣った「不適正者」 しかも30才まで生きられないだろうと宣告されていた。 近未来、 近未来という、 現代よりそんなに遠くない未来を描いた作品の中で、 人種や民族とは違う境界線が引かれていた。 「適性者」 「不適正者」 遺伝子というレベルでかけられる篩いには 個人の力というものが全く通用しない。 空高く舞い上がるロケット。 ヴィンセントはそのロケットに乗りたかった。 だが彼は「不適正者」、 劣性遺伝子を排除されずに生まれてきた。 はるか彼方、空の彼方 宇宙へと夢を飛ばすヴィンセント・フリーマン。 彼は今、宇宙開発を手がける「ガタカ社」にいる。 もちろん「不適正者」の彼が就職試験に受かるはずもない。 しかも宇宙飛行士になれるはずもない。 だが、彼は諦めなかった。 生まれ落ちた時に押された刻印。 だが、ヴィンセントが抗った。 DNAのブローカーから最高級の遺伝子を持つ ジェローム・ユージーン・モローを紹介され その血液で「ガタカ社」のDNAチェックをやり過ごし まさに宇宙飛行士に選ばれようとしていた。 まっすぐに宇宙を目指すヴィンセントと、 超エリートの水泳選手だったが 自殺により下半身不随となったユージーン。 「適性者」 「不適正者」 だが運命は遺伝子ではじき出される結果ではなく、 もっと曖昧で不確実な結果を彼らに与えようとしていた。 空と、地。 ヴィンセントのロケットの炎とユージーンを焼く炎。 アンドリュー・W・ニコル監督。 1998年の作品になるがその映像はもう一つの様式美だ。 無機質にも見えるが登場人物の強い感情は 明確すぎるほどに画面にあふれている。 しかも殺人事件とヴィンセントの弟が絡み、 ヴィンセントの秘密もあいまって、 エンターテイメント性も豊富に含まれている。 ヴィンセントを演じるイーサン・ホーク、 ユージーンを好演するジュード・ロウをはじめとする 魅力的な俳優陣の演技は、 映像の持つ世界観のシンボルとなり 物語のメッセージを伝えてくれている。 生まれ落ちた時に押された刻印。 その刻印から逃れられない、 と、諦めたときから決まる運命があるのだ。 諦めなかったから決まる運命もあるのだ。 ただ。 結果が 必ずしも 幸運をもたらすとは限らないが。 そう、人の運命は何も、 刻印だけで決まるものではなく、 もっと曖昧で不確実な要素が絡まった故に、 一つの結果が生まれるのだと思えてくる。 宇宙に行くために受けた最後の検査で、 ヴィンセントの正体はばれてしまう。 だが、検査技師は穏やかな表情で彼を助ける。 その時に技師の心の声が聞こえた気がした。 「がんばれ」 ヴィンセントの血の滲むような努力が 報われるようにと願う人の温かい感情。 ヴィンセントのロケットの炎と ユージーンを焼く炎。 静かな様式美のある映像。 だがこの物語は熱いのだ。篤いのた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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