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カテゴリ:アメリカ映画
「新鮮なサラダが食べたいな・・」
修道院の料理番をしていたナチョはついに決心する。 そうだ、ルチャ・リブレでお金を稼ごう。 メキシコのプロレス、ルチャ・リブレ、 自由への戦いという意味をもつという。 なんだか・・どうも可笑しい。 ジャック・ブラックが演じればダメ男が、 ヒロイックな活躍をして、感動させてくれるはずなのに。 そこは「バス男」のジャレット・ヘス監督。 感動なんて力強い展開はしてくれない。 ユルユルのストーリーとクスクス笑いの連続。 憧れのルチャのスターラムセスのように、 有名になってお金持ちになって、 子供たちにオイシイ食事をさせようとしたのは、 映画の主人公に相応しいヒロイックな動機。 街で食材も貰いにきた時に、 大事なチップスを盗んだすばこしい男ヤセと タッグを組みルチャに参戦、 初戦で勝てるはずもなく、惨敗と言える結果。 だが思わぬメリットを二人にもたらした。 ファイト・マネー。 観客が彼らのファイトに大受けしていた。 負けても二人はルチャの世界に受け入れられていた。 負けても負けても、 ナチョとヤセはお金を得た。 リングでの衣裳も良くなっていったし 修道院の子供たちに食べさせる料理もグレードアップ。 でも、なんか可笑しい。 彼は負け続けファイトマネーだけをゲットする。 勝たないのだ。 勝ち組にはならないのである。 そして、もひとつ可笑しいことがある。 修道院に新しいセンセイとしてやってきた 美しいシスター・エンカルナシオンはルチャを罪という。 修道院では試合をテレビで観るのも禁止されていた。 ナチョは彼女に憧れていたが、 彼女は彼の勇姿を応援してくれない。 だから恋が成就するプロセスは存在しないし、 ルチャに出ていることがバレれば、 修道院からも追い出されてしまうのである。 勝ち組にならない、 ヒーローにもなれず、恋も成就しそうにない。 ナチョがルチャに出ていることがバレるのは、 時間の問題だからドキドキもしない。 映画として面白くなりそな要素が あんまりにも見あたらない。 それでも この男はまことに愛すべき男である。 子供たちのためにがんばるが 子供のようにがんばっている。 立派な大人の姿をしているが男をあげようとして 必死にもがいて長文のラブレターを シスター・エンカルナシオンにしたためるあたりも まるで思春期の青年のようでもある。 ジャレッド・ヘス監督。 ユルユルのストーリーは「バス男」と変わらない。 だがクライマックスは熱いのだ。 ナチョはラムセスに猛然と立ち向かっていく。 子供たちとシスター・エンカルナシオンの応援が ナチョの底力を引き出していた。 なんだか幸せになるラストシーンは、 ナチョの夢が実現した子供たちとのバス旅行。 「バス男」で観た覚えのあるバスが ジャック・ブラックたちを乗せて遠足である。 ナチョはルチャでヒーローになってはいない。 ある男性がずっと彼を応援していた。 初戦より欠かさずナチョの試合を見続けたいた。 ナチョを慕う修道院の子供もたった一人だったし、 ナチョの相棒、ヤセも一人である。 努力と才能が開花して成功するのは感動するが、 そんな話ばかりが製作されればパターンになりかねない。 熱く盛り上がるというよりも、 まるで友人が幸せになったのを喜ぶ人の温かさが ジャレッド・ヘス監督の作品にはあるように思える。 ジャック・ブラックというハリウッドスターが、 メキシコにもまれ生き生きとしていた。 ヤセ役のヘクター・ヒネメスとのコンビも愉しい。 ナチョーーーーーーーオ!!!! ジャック・ブラックの覆面レスラー姿が 強烈に焼き付く映画である。 そして何もしない登場人物を 真っ正面から全身撮ってしまうジャレッド監督の ユルユル加減が嫌いじゃないと宣言しておこう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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