「B・2・5」
友人も幻想なら、友人の愛も幻想ね。走れメロスは幻想のお話よ。治ちゃん、友達が欲しかったのね。太宰なんてダザイぜ、なんて相手にされなかったのね。 えっ、アタシもそんなダジャレじゃ相手にされない? フン!これでもダンナがいるのよ。オヤジギャグはダンナの悪影響なのよ。 友人が幻想だからって、別に虚無的ではないわよ。よく聞いてね。友人は特別に条件をつけて存在する関係じゃないのよ。人間関係のベースになるのが友人なのよ。そこに遺伝子条件が付いて肉親になったり、魂契約に基づく夫婦や、性条件が伴う恋人になったりするのよ。早い話が、知り合いは皆友人なのよ。縁の濃い関係を親友と呼ぶことがあるけど、同じ人間ならば特に友人という言葉で囲わなくてもいいのよ。えっ、さみしい? そうなのよ。人は、「さみしさ」から幻想を創ったのよ。友人という幻想もその一つよ。