「迷解剣客商売・31」
田沼意次の妾腹、女剣客の三冬。おはると同い年で、大治郎より5歳若い。最初は危機を救った小兵衛に想いを寄せる。小兵衛は、40歳年下の二人から惚れられるわけだ。だが、小兵衛はおはるに言い寄られ夫婦となった。剣一筋で処女でウブな三冬は、それすらも気づかぬ。だが、女として身体がうずき、いつしか対象が大治郎になる。その事自体が、三冬には不思議でわけがわからないままだ。剣一筋の身体と心から、人の、女の、やわらかさが出始めていた。それも小兵衛、大治郎親子との親交からだ。その三人の剣客が一組の男女関係の事件を解決した。その顛末に小兵衛がとった策に、まだまだマジメな大治郎は驚く。「真偽は紙一重。嘘の皮をかぶって真をつらぬけば、それでよいことよ」人がシアワセになるのに、真偽など適当に使えばいい。ワシも、この仕事をしていて、つくづくそう思う。生命力が上がるなら、嘘の百や千や万くらい・・・