「母のこと・98」
休日は優雅にアチコチ出かけているわけじゃない。貧窮生活で、時々夜アルバイトをしていた。週に3日くらいだったけど。近くの町工場で何かに貼り付けるメタルの加工だった。寮仲間が交代で、幾人かずつで行ってたのだ。今の言葉だと、ワークシェアだな。門限というのもあったが、男寮で守るヤツはいない。東京が珍しい田舎の育ちだ。ある日、上野動物園に行った。すると、隣に本で見た顔があった。なだ いなだ氏だ。フランス人の奥様とハーフの子供と。文字中毒系の私は、節操なく本を読む。高校三年生の時、北杜夫氏の「ドクトルマンボウ航海記」を読んだ。ある意味、衝撃だった。安保闘争で、生真面目な人生論の真っ最中だ。ギラギラ、ギスギスしていた社会下だ。こういう生き方があるのだ・・・人生や社会から外れる系統に魅かれるキッカケかもしれない。その北氏(斉藤茂吉の子であり、先日死去された)。精神科医であり、医学博士でもある芥川賞作家だ。その後輩の精神科医であり、やはり作家のなだ いなだ氏も好きだった。その人が、隣にいたのだ。東京は、有名人がいるんだなぁ・・・ (過去のプログは本館 「氣の空間・氣功療法院」です。治療・若返り・悩み相談受付中。日本中出張します)