【仮想儀礼/篠田節子】
村山由佳の「ダブルファンタジー」と一緒に柴田練三郎賞を受賞したもの。私としては、こっちの方がおもしろかったなー。 食うに困って、男二人でネットで宗教を立ち上げて、それから・・・のお話。ビジネスとしての宗教。需要と供給。税金対策。マネーロンダリング。コスト削減と儲け方。適正な市場規模と成長戦略。海外進出。スポンサー。先鋭化せず、ほどほどやっていくには。そんな感じで進むけど、下巻に入ると結構ドロっとする。最後は、虎に自らを与えたお釈迦様のようでもあり全てを背負って十字架に架けられたキリストのようでもあり。「自分でつくった宗教に自分が洗脳されてどうする」現代のどうしようもなく「生きづらい人々」の生きづらさ加減とそれへの無策。既存宗教への痛烈な批判でもあるように思いました。