【戦場のピアニスト】
監督:ロマン・ポランスキー出演:エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン ーーそれは何のためだ?私がユダヤ人だからだ。ユダヤ人には目がないのか?手がないのか。(中略)針でついたら血が出よう?くすぐられたら笑いもしよう?毒を盛られたら死んじまう。酷い目にあわされたら、復讐するーー シェイクスピア「ベニスの商人(河合祥一郎訳) ネタバレです ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディ・シュピルマンが、ナチ侵攻後のポーランドを生き延びる実話に基づいたお話。何かとお騒がせなポランスキー監督ですが、彼もゲットー経験者なのだとか。主演は、もちろん、ウワディのエイドリアン・ブロディ。13キロ減量したり、吹き替えなしでピアノを演奏したりで、アカデミー主演男優賞を受賞する・・・・のですが。 私の心に残ったのは、ホーゼンフェルト大尉(トーマス・クレッチマン)。 ウワディのバラードを聴きながら、大尉は何を思ったのだろう。あと数カ月で自軍が滅びることを理解している前線の将の心中とは・・・。彼にも家族が居ることは、机上の写真に語らせている。 ホーゼンフエルト大尉はソ連の戦犯捕虜収容所で他界した。どんな生活だったかは想像に難くない。ポーランドとイスラエル政府から栄誉を与えられているが、いずれも2000年を過ぎてからだ。大尉を救えなかったウワデイの悲しみは、どれほどのものであったか。無力なピアニストは、大国に翻弄されつづけたポーランドそのもののようだ。 冒頭の「ベニスの商人」の一節が映画に出てくる。しかし、こちらは「酷い目にあわされたら・・。」の前で終わっていたよ ウワディが解放直後に殺されそうになる場面が強烈すぎるくらい強烈でした・・・。