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カテゴリ:判例、事件
「船場吉兆らの社長ら破産」(日経30日朝刊)との見出しが。
料理人としての頂点からどん底みたいな話で、世の無常をすら感じてしまう事件ではあります。 「船場吉兆」自体は、民事再生法による経営再建を目指していましたが、その見通しがたたず、先日すでに破産しています。今回は、船場吉兆の(元)社長とあの女将が破産した。 会社の破産管財人の弁護士は、社長らに対する損害賠償請求を検討する、と述べたらしい。 これ、何がどうなっているかわかりますでしょうか。 会社が破産するとどうなるかというと、突然その会社が消滅してしまうわけではない。 破産というのは簡単に言うと、「財産より借金のほうが多くて返せるめどがつかない」状態のことを言います。 そうなると会社が「もう借金は返せません」と裁判所に申立てをして、裁判所が「この会社は破産です」と認定する。 「破産した」と報道されるのはこの段階で、これを「破産手続開始決定」と言います。 でも話はそれで終わりでなくて、まさにこれは破産の「開始」の段階です。 そのあとは、会社に残った財産から少しでも債権者(お金を貸してくれた銀行や、給料をまだ払えていない従業員など)に返済するための手続が始まる。 その手続きをするのが「破産管財人」で、通常は弁護士の中から裁判所の指名で決まる。 船場吉兆の会社は現在この段階です。 今回さらに、社長と女将に「破産手続開始決定」が出た。 本来、会社(法人)と社長個人の財産は別モノであって、会社は破産しても社長個人は直ちに身ぐるみ剥がれるわけではない。 それでも、中小の会社であれば、社長個人が会社の借金の保証人になっていたり、会社に必要な経費を自分の名義で借金していたりすることも多く、会社が潰れると自分も破産せざるをえないことはよくあります。 船場吉兆の社長と女将が、個人としてどれくらいの借金を抱えていたか知りませんが、そういう次第で一緒に破産することになったのでしょう。 で、冒頭に書いたとおり、船場吉兆の会社の破産管財人は、社長ら個人に損害賠償請求をする、といった。 経営陣の不手際で会社が破産したのであって、その責任は社長ら個人にある。それをお金で償ってもらって、会社の債権者への返済にあてるというわけです。 しかし破産した個人に「損害賠償せよ」と言って意味があるのか、と言いますと、もちろん破産管財人の弁護士も意味があるからやっているのですが、 破産に縁のない日常を送っている方にはすでにずいぶんややこしい話になった気がしますので、また次回以降に書きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/30 12:59:39 PM
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