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カテゴリ:判例、事件
大阪のひき逃げ事件は、容疑者が逮捕されました。
いっとき、ミナミにホストとして勤めていたとかで、逮捕場所となったラーメン屋も、うちの事務所からほど近い、私も行ったことのあるお店でした。 それはともかく、事件後しばらくは容疑者は逃げおおせていましたね。 大阪府警も「自殺」を懸念していたらしいですが、私も、逃亡の末の自殺といったことを想像していました。 交通事故によって人を死なせると、一昔前なら業務上過失致死罪で5年までの懲役でしたが、現在は自動車運転過失致死が適用されて7年までの懲役となっており、さらに、危険運転致死罪が適用されると、一気に20年までの懲役が可能となる。 20年の懲役を食らうくらいならと、逃亡さらに自殺を図ったのかも知れないと考えていたのです。 実際には、この容疑者は事件当時は飲酒しており、別罪で執行猶予中の身であったということが直接的な逃亡の動機であるようですが、おそらく、頭の片隅には、交通事故の厳罰化ということがあって、それも動機の一つになっていたのではないかと思います。 ここに、犯罪を厳罰化することの難しさがあるのだと思います。 交通事故関係の犯罪についていえば、刑法改正による厳罰化の後、統計的に見て犯罪件数は減っているらしいので、厳罰化は基本的には間違っていなかったのだと思います。 それでも、今回の事件で容疑者が「罪が重いから逃亡してやれ」と思ったせいで被害者を引きずるような行動をし、その結果死亡させたのだとすれば、この被害者の方の人生に限って言うと、刑法改正はマイナスにしかならなかったわけです。 少し話は変わりますが、強かんその他、わいせつ系の犯罪を行った男性に対して、どこかの国では犯人を去勢する立法が審議されているか、成立したのだったか、そんな話を聞きました(楽天ブログでは「強かん」を漢字で書くとNGワードになります。「かん」は「姦」の字です)。 強かん犯罪(3年以上の懲役)は、私ももう少し重くてもいいと思いますが、これだって、法律が「一度でも強かんを犯した者は去勢する」ということになったらどうなるか。 罪を犯してしまった人は、逮捕されるまでの間、「どうせ去勢されるのなら今生の名残のないように」とばかりに、同じ犯罪を繰り返すことが容易に想像されます。 統計的にみれば犯罪を減少させるとしても、いつ自分自身と周りの人が、自暴自棄になった犯人のエジキになるかも知れない。 そしてエジキになった人にとっては、「厳罰化のおかげで犯罪は減ってるから」と言ってみても意味はないでしょう。 犯罪厳罰化は、よくよく慎重に検討しなければならないということです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/11/10 01:00:21 PM
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