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カテゴリ:判例、事件
ズボン姿であっても、女性を隠し撮りする行為は有罪である、と最高裁が判断(本日朝刊より)。
31歳の男性が、27歳の女性の臀部を、携帯電話のカメラで撮影したと。 その行為が「迷惑防止条例」が禁止する「卑猥な言動」にあたるとして有罪になった(10日)。 刑罰はといいますと、罰金30万円らしい。 刑法では、体をさわる行為は強制わいせつ罪で処罰されますが(10年以下の懲役)、写真を撮るといった行為は処罰されない。 それでもたいての県や市には迷惑防止条例があって、こっそり撮るのも「迷惑行為にあたる」ということで処罰されることになっています。 本件は、スカートの中を写したという典型的な態様ではなく、ズボンの上からでもダメといったところが目新しい。 じゃあ何だ、街なかで風景写真を撮っていて、その中に通行人の女性の後ろ姿が写っていたら罰金30万円になるのか、と息巻く人もいるかも知れませんが、もちろん、そんなことにはなりません。 この件は、やり方がちょっと行きすぎだったということだと思われます。 新聞記事によると、スーパーマーケットで買い物中の女性に、5分間、距離にして40メートルにわたって後をつけ、1~3メートルの背後から臀部を11枚撮影したということで、ちょっとあからさまな感じがする。 条例が禁じる「卑猥な言動」とは、「性的道義観念に反する下品でみだらな言動」をいうと最高裁は言いました。要するに「スケベ根性が見てとれる言動」のことで、上記の行動はこれにあてはまるということでしょう。 (それにしても、こんな不明確な言葉で犯罪を定義してよいのか、という点は問題になります。憲法上は、明確性の理論とか合憲限定解釈の議論につながるのですが、ここでは省略) 個人的には、この被告人の行動は軽犯罪法が禁じる「他人につきまとう行為」(1条28号)のほうがピッタリくると思います。 でも軽犯罪法が定める罪の重さは、30日未満の拘留または1万円未満の科料までにしかならない。 そこで検察としては、解釈上の疑問がなくはないけど、条例の「卑猥な言動」のほうを適用してみた、ということでしょうか。 ちなみのこの事件は平成18年7月、旭川市内で起こったとのことです。 旭川とはいえ夏ですから、女性は薄着で、男性としてそそられるものがあったのかも知れません(実際はどうだったか存じません)。 もちろん、女性がどんな服装をしていようと、男性がそれを性的興味から撮影するようなことはあってはならないことです。 しかし女性も、治安対策を国や地方に求めるなら、同時に夏の薄着はほとほどにすべきです。 と、今年の夏に女性の服装を見ながらそんなことを思ったあたり、自分もオッサンになったなあと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/11/14 11:02:59 AM
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