カテゴリ:パリのアパルトマン管理・・・
昨夜初めて私は、主人のマンションの管理組合の会合に参加してきました。 面倒だし正直行きたくないぐらいだったのだけど・・・これからずっと フランスで生きていくうちに、いつどんな場面で主人の代わりに 私が動かなきゃいけない場面が出てくるか分からないから・・・それに 夫は文学オタクでこういった事に疎いので、私も少しずつサポートして いかなければと思って、出席したのでした。 今回は入門編にふさわしくテーマが1つしかない臨時総会で、 召集をかけたのは最近マンションの6階と7階を購入したM夫妻。 (両方買うなんてすごいねぇ・・・。) 売主のムッシュVは7階の床を1m四方の正方形に切り取り、そこに 梯子の様なものをつけていました。 これで素敵な2階建てマンションが完成した訳です。 ところがM夫妻は購入後に、切り取られた床部分の梁がきちんと 補強されていない事、しかも梁の辺りはマンションの共有部分なので 壊すのにも補強するのにも管理組合の許可が必要なのに、ムッシュVが 何の申請もしないまま工事をしていた事を発見したのです。 そこでM夫妻は< ・無許可のまま開けられてしまった床の穴を、管理組合に認可してもらいたい ・梁の部分を補強したい という2つの希望を掲げていました。 予算は全てこの夫婦が持つと言っているし、私達には反対する理由が一切 思いつかないので、「許可」の投票をするためだけに軽い気持ちで出かけました。 その日集まったのは15人ほど。 うち半数以上が50歳過ぎで、私にとっては久しぶりに年齢層の高い集まり。 今思えばこういうメンバーだからこそ、昔の愉快系フランス映画で観る様な 展開がなされたのかもしれません。 まず最初に話を始めたのは、テレビの司会者の様にテキパキと進行を進める 管理会社のムッシュD。 彼の年齢は30ぐらいでしょうか。 あとで眼鏡をはずしたところを見たら、かな~りカッコよかった 続いて今回の被害者(だと私は思う)M夫妻から、前もって私達に 郵送していた文書の内容を確認する為の説明が開始。 年の頃は40ぐらいで、ご主人はいかにも銀行務めといった感じの真面目な、 雰囲気のいいカップル。 会場の大体全員が彼らに同情的だったと思うのだけど、そこに水を差したのが マダムFの代理で出席していた、ちょっとインテリ風な50代の男性。 マンションの共有部分に関する事なのに、(M夫妻のせいではないとはいえ) 事後承諾になってしまっているところが許せないんだそうです。 そこに割り込んできて、M夫妻に助け舟を出す形になったのがムッシュZ。 もう70歳を過ぎていそうなのに、とても聞き取りやすい声で意見を明確に 述べていきます。 私は最初、 「うちの主人よりも的確に論を進めているわ!! 老後の自分もこんな風でありたいなぁ」 なんて思って尊敬の念も込めて、ムッシュZの話を聞いていました。 だけど・・・みんながじっと耳をすましているのでつい調子が出て しまったのか、ムッシュZの話はだんだん違う方向に・・・。 「ところで7階にあるテラスなんですけどねぇ、そこは共有部分なので よろしくお願いしますね」 「中央暖房の温度を上げすぎるともったいないから、もしできるなら壁に 断熱材を入れた方がいいですよ。 もちろん1番質のいいものをね!」 「あそうそう、防音装置も付ける事をお勧めますよ。 このマンションは58年に建てられたんだけど、当時はそういうものが なかったもんですからねぇ・・」 「中央暖房といえば、勝手に台数を増やしている人が居るんですよ。 そういう人には暖房代を多めに払ってもらわなくちゃいけないんですけどね。 Mさん達のお宅はどうですか? あ、ムッシュD、これ次回の総会のテーマに入れましょう!」 などなど・・・。 このマンションを持っているのは私の主人なのだけど、実際に住んでいるのは 義弟(次男)なので、今までこの会合には彼が代理出席してくれていました。 (ちなみに私達は義弟(三男)の持っているマンションに住んでます。) なので私も主人も知らない事柄満載のムッシュZの話にそれなりの関心を 持って聞いていたのだけど、1番後ろに座っていたユニークな顔の、 やはり70前後の女性が割って入ってきたあたりから、だんだん 話についていけなくなりました。 だって彼女ったらまだムッシュZの話が終わっていないのに(というか、 いつまでも終わらない恐れもあったけど・・・)3回も同じ事を 言い続けたりするんだもの。 でもそこで、業を煮やしたムッシュDが裁判長さながらにペンで机を何度か叩き 「静粛に!!」 と、暴走気味の2人をを収めてくれました。 (やっぱりカッコいい) しかし・・・おしゃべりな人っていうのは、1度はじけちゃうと止まりません。 (己を振り返っても、自分が今まで関わってきた人達を思い出しても、そう思う。) M夫妻に好意的ではありながらも、ムッシュZは本当にたくさんの質問を し続けました。 挙句の果てにムッシュZが 「ところでその穴のサイズは幾つですか?」 と訊くと、生真面目なムッシュMは寸法を思い出せないらしく 「えーと・・・たぶん事前にお送りした資料に書いてあるんじゃないかと 思いますが・・・」 と、とても困った顔をしながら応えました。 でもそこで貴族出身の伊達男(60歳近く?)ムッシュDが 「ムッシュZ、郵送で受け取っているこの紙を見てください」 といいながらひらひら提示した紙には細かい寸法がイラスト入りで 書いてあったので、みんな爆笑。 (送られてきたものをよく読んでから質問すればいいのに・・・ムッシュZ。) 結局50分の間、最後の最後になってまたもやムッシュZと最後列の女性が 暴走しました。 (彼女なんてわざわざ立ち上がって、ムッシュZの隣に移動してまで 主張していました。) 彼らの言う事は間違っていないのだけど、ふだん気づいた事を全ていっぺんに 取り上げる2人にリードされた会合はごった煮状態・・・いかにも 「おフランス」な光景に(笑)。 またもやムッシュDがボールペンでテーブルを叩いて2人を鎮めてくれ、 なんとか投票を始められましたけどね。 結局M夫妻達に反対したのはマダムFの代理人ただ1人で、彼らの希望は 通りました。 (本当に良かったですね。) 例の最後尾の女性が投票が終わるやいなやコートを着込み帰り支度を 始めたのに、ムッシュZがそれからも何度も同じ話を蒸し返して会合を 終了させないので、彼女は立ったり座ったり自分も発言しだしたりで、 そこが個人的にはかなり笑えました。 私と主人はずっと聞いているだけだったけど、会が終わってから ほぼ全員と軽くあいさつを交わし、その気になれば誰でも気軽に発言できる 管理組合の雰囲気とムッシュDの有能さに満足して家路につこうとしたら・・ 道端のピンクのお花に気づきました。 私が 「最初は桜かと思ったけど、梅の様な気もする」 と言ったら、主人は 「梅・・・ウメシュが飲みたいなぁ・・」 と呟きました。 私が内心「日本食レストランに行きたいな」と思っていたらディノもそう 声に出して言ったので、2人でシャンゼリゼまで出て食事をし、それから 思いつきでふらっと「Juno」を観て深夜に帰りました 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.29 04:18:54
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