テーマ:最近観た映画。(40126)
カテゴリ:日本映画(60&70年代)
ポンピドゥー・センターで吉田喜重特集が組まれているのと連動して 『秋津温泉』(1962)と『エロス+虐殺』(1970)が街の映画館でも上映されているので 映画館Le Champoで、監督と岡田茉莉子の結婚のきっかけともなったらしい 『秋津温泉』を観てきました。 数日前に観ていた主人から 「メロドラマ過ぎて好きじゃない。 同じ音楽が何度も聞こえてくるのもちょっとね・・・」 と聞いていたのであまり期待せずに鑑賞開始。 始まって数分して思ったのは・・・・確かにメロドラマ過ぎる! 特に初めの方で、戦後間もなく岡田茉莉子と長門裕之が死を口にするシーンは観ているのが ツライ。 また、岡田茉莉子が若き日のヒロインを演じている時の「明るい女の子」としてのセリフまわしも 現代人から見ると芝居がかっていて「演技らしい演技」に感じられる。 (市川崑の1960年作品『弟』に出ていた時かな、岸恵子にもこういった感じの演技があったので 時代の流れなのだと思うけど。) なのだけれど秋津の美しい自然の描写や、岡田茉莉子の、台詞を口にせずに喜ぶ時の演技に 惚れ惚れしているうちに物語はどんどん進み、結ばれぬ運命に陥った2人が数年ごしに 逢瀬を重ねる頃になるともう、物語にグングンと引き込まれている自分に気づく。 戦後日本と同様に変りゆく男と、変化する事を人生の途中から放棄する女。 この正反対の生き方のどちらが正しいかなんて分からないけど、どちらの気持ちも分かる気がする。 ストーリーがストーリーなだけに成瀬巳喜男の『浮雲』(1955)と比較してしまうのだけど、 こちらの映画の方に何かのめり込んでしまうものがあった。 時代の違いかな?? 嫌がったり苦しんだりする岡田茉莉子が、色香が漂っていてとても良かったのもあるのだろう。 いつでもどこにでも私について来たがる主人なのに、この日私が 「今夜は『秋津温泉』を観に行く」 と話したところ 「・・・悪いけど今回は付き合えない」 と言っていた。 (別に同行してくれなんて頼んでいないのに!?) ところがその夜、私が映画館に着くと主人の姿がありびっくり。 「どうして気が変ったの?」 と訊くと 「実は、どんな感じの映画だったのかあまり思い出せなくって」 という返事。 (観てからまだ数日しか経っていないと思うのに、頭、大丈夫??) こんな具合に、観終わった直後には「気に入らなかった」と言い、数日経ってからは 「思い出せない」と言っていたうちの主人。 なのに2回目の鑑賞を終えると 「いい作品だったね!見直して良かったよ!感想が180度変っちゃった。音楽も良かったよ。 もう1回観ようかな」 ですってさ・・・。 メロドラマ要素がいっぱいだけど、メロドラマが好きではない主人でも満足の映画、 一見の価値ありです ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 追加写真 後日ポンピドゥーセンターで撮ったポスターです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.04.24 02:00:37
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