テーマ:最近観た映画。(40131)
カテゴリ:日本映画(60&70年代)
吉田喜重監督作品としては2作目の『血は渇いている』(1960)をポンピドゥー・センターで鑑賞。 保険会社の広報部に勤めるやり手の女(芳村真理)がコマーシャルタレントとして目をつけたのは、 ひとたび会社の人達の前で自殺しようとして失敗し、ニュースになっていた男(佐田啓二)。 彼が有名になる事によって起こる一連の出来事をマスコミの裏を見せつつ悲劇的にかつ喜劇的にも 描くこの映画は、スタイリッシュな画と音楽の中に演技抜群の俳優を配し、 当時既に素晴らしかった監督の演出力を証明する様な作品でした。 テーマに抽象的なところがあり、しかも普通のハッピーエンドにはならなそうだなと 分かりきってしまうだけに長く感じられた感は否めまないものの、 全体的な完成度の高さに吉田喜重の他作品も観たいという気持ちにさせられました。 私はこの映画を観ていて、同じく企業の宣伝部に勤める男達(高松英郎、川口浩)が ずぶの素人娘(野添ひとみ)をスターに仕立て上げてコマーシャルを製作するというストーリーの 『巨人と玩具』(増村保造、1958)を思い出さずにはいられませんでした。 制作年代は近いものの、この2作品は片や大映・片や松竹。 それぞれ時代の風潮を表そうとして「偶然」似たテーマにたどり着いてしまったのでしょうか? (無知で分かりません・・。) こちらも二転三転するストーリーに延々ついていくのに少々疲れたし、なんと言っても 何度も聞かされるCMソングに辟易してしまったのだけど、1人1人がしっかりと自分の演技を こなしている、パワーの感じられる映画でした。 あの歌だけカットできるなら、ぜひもう1度観たいです(笑)。 去年秋はシネマテークの増村保造特集に明け暮れていたうちの主人、今度はこちらの 吉田喜重特集に大忙し。 吉田監督の作品はテーマも様々なら、観た後の満足度もまちまちだと言いつつもとても楽しそう。 その姿は微笑ましい様な、全然微笑ましくない様な・・・やっぱり後者だな 私は1日1本しか観ない主義だし「全部観よう」なんていう気概はないけれど、 作品を選びつつお付き合いしたいと思います。 (1番上の写真は夜のポンピドゥー・センターの外観です。) ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.04.10 08:42:57
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