映画大好き夫婦のパリ新婚日記

１つ前の日記の続きで、私がパリで遭いかけたスリについて書きます。

今から６年ちょっと前の２月、私が留学１年目の時に日本から１歳下の妹がフランスに
遊びに来てくれました。

私は当時パリから列車で３時間かかる場所に住んでいたのですが、妹が心配だったので
（当時は今と違って過保護だった？）パリまで出て、空港まで迎えに行きました。

そのままパリのホテルで二泊してから、いざ私の住んでいる家に向かう時がきました。

「どうやって汽車の出る駅まで行こうか？」
と話し合い、そんなに大変そうなルートでもなかったのでメトロで向かう事にしました。

後から思うと、これは間違いだったのですが・・・。





私達にはそれぞれ２つずつ荷物がありました。

私はボストンバックとハンドバック、妹はスーツケースとトートバックです。

妹のスーツケースがかさばって大変そうだったので、私はトートバックを持つのを引き受けました。

さて、いざメトロに乗り込むと（たぶん１番線だったと思うけどよく覚えていません）
空いている席がなかったので立っている事にしました。

すると急に黒人の男性が強気な態度で私達に日本語で
「ツカマレ！」
と言ったのです。

きょとんとする私達。

「ツカマレ」って・・・一体何に？

電車が揺れてもふらつかない様に、電車の中に立っている棒につかまれって事かしら？

その男性が半分叫ぶ様な口調で言ったので逆らう訳にもいかないし、とりあえず私達は
腑に落ちないと思いつつもバーを握りました。





それから１・２駅進むと、だんだん電車が混んできました。
（夕方だったので、ちょうど帰宅ラッシュだったのでしょう。）

私の横に居た、10歳未満と思われる白人の子供３人組（女の子が１人と男の子が２人）が
他の人達に押されたのか、私の体に近づいてきました。

・・・だけど・・・なんだかおかしいのです・・・。

私に特にぶつかってくるのは可愛い顔をしてキュートなワンピースを来た女の子なのですが、
なんだかわざとらしい・・・・・車内はそこまで混み混みでもないのに、何度も何度も
私の体にアタックしてきます。

しかも顔がちょっと笑ってるし。

・・・アナタさぁ・・・「わざと」私にぶつかってるでしょ？





おかしいなと思うと同時に、最初に訳の分からない「ツカマレ」騒動があっただけに
不安になってきました。

まさか、こんなに小さい白人の子（私は当時、白人の子供には警戒心を持っていませんでした）が
スリの訳ないよね・・・この子は本当におかしい！

その女の子から離れたいと思いつつも、混みだしてきた車内には手荷物３つの私の逃げる余地は
ありませんでした。
（もしかしたら不可能ではなかったのかもしれないけど、実はその時私はパニック状態に
なってきていました。）

動けないなら仕方ない、なんとかして手荷物をガードしよう！

はしたない気もしたものの、私は苦し紛れに妹のトートバックを自分の脚と脚の間に挟みました。

それでもぶつかってくる女の子。

怖い！助けて！助けて！





私が頭の中でそう叫んでいた時、最初の黒人男性が今度は本当に叫びました。

私には彼の言葉が聞き取れませんでしたが、３人組の子供達はその声に合わせるかの様に
電車の止まった駅で一斉に、逃げる様に下車していきました。

・・・助かった？





慌てて手荷物３つをチェックするとなんと、きっちり閉まっていたはずのトートバックのファスナーが
数センチ開いています!!

妹はスーツケースだけを握っていたので特に襲われなかったものの、私の状態を見て
ハラハラしていたそうです。

トートバックの中身を確認してもらうと、何もなくなっていないとの事でした。

よかったぁ・・・・どんなにカッコ悪くても、はしたなくても、３つのバッグを死守して。

あまり良く覚えていませんが、黒人の男の人はその次ぐらいの駅で降りて行ったと思います。





事件の解決した瞬間にはどうしてあの黒人男性が最初に「ツカマレ！」と言ったのか、
そしてどうして急に叫んで子供達を追い払ってくれたのかが分かりませんでした。

でもよくよく考えると、グルだったのだと思います。

きっと、こんな段取りでスるつもりだったのではないでしょうか。

１．
旅行中の日本人（＝たくさんの現金やパスポートを持ち歩いている）を見かけたら
「ツカマレ」といい、手にポールを握らせる。

２．
カモの手がふさがったところで白人の子供達（＝日本人は警戒しない）がスる。
その間、黒人男性は見張りをする。


これもあくまで予想ですが今回の場合、私のしぶとさを見た黒人男性は
「こりゃムリかも。
いつまでも挑戦し続けていると周りの人も気づくだろうし、子供達を逃げさせないと」
と思い、
「散れ！」
という意味で叫んだのでしょう。

追記：
この記事を書いてからキリさんより書き込みをいただいて、長年の私の解釈が
間違っていた気がしてきました。
この黒人男性は、私達を助けてくれたのかもしれません。
（詳しくはコメント欄をご覧ください。）





妹のトートバックにはお財布の他、パスポートや日本に帰る為のチケットも入っていたので
もしもここで被害に遭っていたら大変な事になるところでした。

危うく難を逃れた私達は興奮して
「良かったね」
「本当に良かったよね」
と、私の家まで向かう列車の中で３時間ずっと、この話で持ちきりでした。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

この恐かった体験の後、反省及び学んだ事が２つあります。

まずはなんといっても、スーツケースを持っているのに（＝観光客だとバレバレ）
タクシー代をケチってメトロに乗ってしまった事。

これは明らかにNGでした。

同年（2002年）の夏からずっとパリに住んでいる私がスリに狙われたと断言できるのは、
実はこの時だけです。
（「携帯をスラれたっぽい」経験もあるのですが、これは曖昧なので。また今度書きます。）

普段あまりこぎれいな格好をしていないのでお金を持ってる様には見えないし、
観光客ではないのも見て分かるからでしょう。
（それにいつも警戒して、カバンをしっかり押さえてますしね。）

でもこの時のスーツケースは明らかにマズかったし、日本でOLをしている妹が
ドレッシーな格好をしていたのも、相手はしっかり見ていたのでしょうね。





それからもう１つ、この経験からたとえ10歳未満に見える白人の子供にも油断してはいけない
と学びました。

後から知った悲しい話ですが、東欧の諸国から連行されてきた子供はこういった行為に手を
染めさせられているらしいので・・・。

（現に2003年か2004年の夏には、エッフェル塔そばの６番線Bir Hakeim駅の改札に
東欧の言葉を話す子供が数人たむろして通行人を狙っていました。）

パリにはスリが多く、その回避の方法をうまくまとめるのは難しいのですが
（私の知らない様なケースもたくさんあるのでしょうし）、
次回は私が（見ずに）見たスリの巧妙な手口を紹介してみますね。


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