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映画大好き夫婦のパリ新婚日記

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2008.04.25
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ポンピドゥー・センターの吉田喜重特集にて『水で書かれた物語』(1965)を鑑賞。

この映画の面白さの1つには、観進めるうちに過去の事が少しずつ分かって来る事も
挙げられると思うので、あくまで「ざっと」ストーリー設定を説明すると、こんな感じです。

幼い頃に父(岸田森)が他界し、母(岡田茉莉子)に女手一つで育てられた主人公(入川保則)。
社会人になってからは、幼馴染で明るいゆみ子(浅丘ルリ子)と結婚する事になるものの
実はその父親・橋本(山形勲)と自分の母の関係が気になっている為なかなか乗り気になれず・・。





難しい事は書けないので、いつも通り初見で思った事を書き並べてみます。

この作品は白黒なのだけどタイトルにある「水」を意識しているのか、
それとも夏季の話で日差しが強いのか
(実は観てから一週間経ってしまったので、季節がいつだったのかはあまり自信がありませんが)、
白の際立っている美しい映画でした。

人物や物のスクリーン上での配置が見事で、どのシーンを切り取っても
素敵なポストカードが作れそう。

この作品も吉田喜重らしく(これだけは私にも分かります)、
鏡に写る反映が見事に取り入れられています。





未だに若くて美しい母に甘美な感情を抱きつつも、彼女の橋本との情事に苦しむ息子の姿を
回想シーンも含めて2時間に渡って描くこの映画はやや重苦しいのですが、
私は1つ1つの画の美しさや俳優陣のしっかりした演技に魅惑されていたので
それがほとんど苦痛にはなりませんでした。

ただ、思わせぶりなシーンが多く
「『え?もしかしてここで終わり?』と思う右矢印実はまだ続く」
という現象が何度も起こった為、最後の15分間はどうしても
「長い映画だな~」
と思わずにはいられませんでしたが・・・。

でも1つ1つのシーンに、吉田喜重がそれだけこだわっているのがものすごく伝わってきたし
(もちろん、その「こだわり」は成功しています)、
ラストにはきちんとした結末が用意されていたので、
「この先は観客1人1人に委ねます」
とか
「何通りもの解釈ができる映画」
という名目のもと尻切れトンボに終わる作品が苦手な私は
(主人公の散々苦悩した結果があの事態であっても)とりあえず、スッキリできました。





それにしても・・・この映画のストーリーのベースは上記の通り、
自分よりも思いっきり年上の女性(ここでは、母)に憧れる男の子の迷いやとまどいなのですが
いかにもフランス映画っぽいなぁなんて思いました。

私自身は前半部分ずっと
「あぁ、これは思い悩むよねぇ。なんて可哀想な主人公・・・」
なんて思いながら観ていて、途中まで行ってようやく
「母親も母親で哀れだなぁ」
とも考え始めたのだけど、映画が終わってから私の主人が言ったのはズバリ、
「『母親』だって『一人の人間』なのだから、(仮に)縛り付けたら可哀想だよ」
の一文でした。
(私はモラリスト過ぎ、主人はフランス的過ぎ?)





これは、一児の母親でありながらも「女」を捨てられない静香と、
母の中の「女」に魅了され、それと同時に絶望もする息子の静雄の物語。

母が自分の幼馴染の父親(注:その妻は病床)と逢い引きを重ねているのに勘付いていて
トラウマ的なものを抱えてしまった一人息子の静雄が哀れなのか、
それともまだまだ輝いているのに、女で居続けるのが罪であるかの様にみなされる
静香が気の毒なのか。

「答えはこうだ!」などとは断言できない問題だけど、
日本人の平均的答とフランス人の平均的答は結構違うんじゃないかなーなんて
思ってしまいました。

こちらでは離婚した人同士が、お互いの子供を連れて再婚するケースも年々増えていると
聞きます。
(今のところ、知り合いには居ないけど・・・あ!!
そういえばそれに近いケースが一件あるかも??)

そういう家庭の子供達は
「自分のお母さん(またはお父さん)が、よその誰かと付き合い出す」
という事実もごく普通に見て来ているのだと思うし、実際問題その後には
「自分の片親が誰かと一緒に暮らしだす」
のを目の当たりにしているのですが、あくまで世間的な風潮では
大体の子がそれを乗り越えているみたいなんですもん。

この話を主人にもう一度ふってみようかと思いつつも、なぜか面倒くさくてそのままになってます・・。


1番上の写真は昼間に撮ったポンピドゥー・センターの外観です。
右上から左下に傾いているチューブがエスカレーター。

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最終更新日  2008.04.28 05:33:11
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