テーマ:映画館で観た映画(8573)
カテゴリ:日本映画(60&70年代)
またもやのポンピドゥーにて、吉田喜重『告白的女優論』(1971)を鑑賞。 まずは、goo映画の解説を持ってきます。 女優とは何か? この作品は、映画「告白的女優論」に出演することになった三人の女優の 撮影二日前の生活を追いながら、三つの物語が同時進行するスタイルをとっている。 この告白的テーマに浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子の三女優が みずからの女優キャリアとイメージを賭け、 人間に隠された様々な欲望・葛藤を表現しながら「女優」というテーマに挑戦する。 う~ん・・・この作品ちょっと観づらかったかなぁ・・・。 なんだか全体的に演劇がかっていて、3女優が『映画』ではなくて『舞台』の女優に見えたし。 他の2人が現代で言うところの「トラウマ」に縛られている為その言動を理解しやすかったのに比べ 岡田茉莉子演じる「一森笙子」の心があんなにも揺さぶられている理由はよく分からなかったので、 夜中に医師やマネージャーと一緒になって彼女の夢を再現しようとするシーンは重く感じられた。 そんなこんなで最初の1時間は退屈と闘いながら鑑賞していたものの、 残り1時間は割と楽しく(?)観る事ができた。 (なんだかハラハラしちゃう、朝丘ルリ子の回想シーンぐらいから)。 シリアスな映画なのに、朝丘ルリ子に関するエピソードにはちっちゃなギャグも入ってきているし 先日の『水で書かれた物語』(1965)では岡田茉莉子にばかり目がいってしまい 個性の薄い役を演じている朝丘ルリ子は少々霞んで見えたけど、 本作品では朝丘ルリ子がばっちりと挽回していました。 女優、いや役者・・・というか人間にはそれぞれの旬があるのだなぁと再実感すると同時に、 与えられた役目によって人は輝いたりもくすんだりもするのだと驚く。 個人的には小津監督の『東京暮色』(1957)と 『彼岸花』(1958) でしかお目にかかった事のない有馬稲子を見られたのが、とても嬉しかった。 71年の本作の彼女の表情を見ると年月が経っているのがはっきり分かるけれど、 それでも可憐さは相変わらず。 う~ん、さすがは元トップ・タカラジェンヌ 欲を言わせてもらうなら・・・ せっかく世間の注目する女優を3人も集めたのだし、タイトルにも「告白的」が付くのだから、 こんなにエキセントリックな役柄ばかりを用意せず もう少しこの3人の実像に合った台本を書いてほしかった。 上の方に貼ったgoo映画の解説には 「みずからの女優キャリアとイメージを賭け、 人間に隠された様々な欲望・葛藤を表現しながら「女優」というテーマに挑戦する。」 と書かれている。 たぶんそれが皆の期待するところなのだけど、いざフタを開けてみると 「人間に隠された様々な欲望・葛藤を表現」 するのに重きが置かれすぎ、 「『女優』というテーマ」 はアクセントに留まっていると思うのだ。 でも、ま、画面処理は今まで観てきた吉田作品の中でも屈指の出来だったし (スクリーンの下の方5分の1だけにしか人物を写さず 残り部分には壁か何かのみを写して真っ白のままにしておくなど、 とても大胆なカットが多かったけど、全部成功していた気がする) この3人が観られたので満足してます、私は。 ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 (1番上の写真はポンピドゥー・センターに2つある上映室のうち、大きい方の入り口です。 写真の通り、入り口の左側には幾つかの映画のポスターが宙吊りになっています。 そして入り口の右側にはガラス貼りのケースがあり、 その中にスチール写真などが展示されています。 この映画のラストシーンもこのケースで事前にちらっと見ていたのだけど、 改めてスクリーンで観るとカッコよかったです!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.05.01 06:43:02
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