ワールド・カップ開催中につきゴキゲンなドイツ人ファミリー
「出会った笑顔編」も今回で最後。2回くらいでUPしようと思っていたのに、終わってみれば5回まで引き伸ばしちゃった。
さて、しめくくるのは私たちの帰国当日アラモ・レンタカーのオフィスからホノルル国際空港に向かうバスの中で出会ったドイツ人ファミリー。口ひげをたくわえたパパと優しそうなママ、そして小学校中学年くらいのシャイな女の子が座っているシートの向かいに私たちは座った。目が合って「Hi」 と言うと「Hello」 とにこやかに返してくれた感じのよいファミリー。
バスが走り出し、最初に停まった信号で「Airlines?」 とドライバーが振り返った。バスには私たちとドイツ人ファミリーのほかにも2グループほどが乗っていて、「Aloha」「Hawaiian」 と彼らが、そしてハビーが「Northwest」 と言った。全員がドイツ人ファミリーのほうを見たけれど、パパは航空券とにらめっこを続けるだけで黙っていた。
たいてい国内線のお客さんから降ろしていき、JALとANAと続き、NWAは一番最後に降ろしてもらうことが多い。経験上それを知っていた私たちはのんびりバスに乗っていたけれど、パパはそれどころではない形相で依然航空券を握っていた。見てあげようかなとなんどか思ったけれど、声をかけることすらできないほどのオーラがま、まぶしい。こうなったら早くドライバーに聞きに行ってくれればいいのにと思っていたら、バスがハワイアン航空のカーブで停車しているときにやっと腰をあげてドライバーに聞きに行ってくれた。笑顔でシートに戻ってくるパパの姿を見てママとお嬢の顔がゆるんだ。私たちはもちろん、よく分からないけれど状況を察したお年寄りまでもがほっ。
「Where are you from?」 「Germany」 「How about you?」 「Japan」 堰を切ったようにおしゃべりが始まった。ドイツと言えば昨日ワールド・カップで勝ったばかり(ハワイ時間6月30日朝の時点)。そのことにハビーが触れると、「がっはっは、そのとおり。」 と3人は急にゴキゲンになった。尋ねもしないのに、ドイツからハワイまではトランジットにトランジットを重ねて26時間かかったことや、夏季休暇の3週間をカウアイ島で過ごすこと、ワールド・カップは我々ドイツがいただく、なんていうことを話してくれた。もちろんこのことにも話題は及んだ。私たちのハワイ滞在日数。9日間と聞いて不服そうな顔をしたのは、3泊5日でハワイに行く日本人観光客の存在を確認できなかったからかもしれない。いずれにしても日本人の休暇が短いということは世界中で有名らしい。
「Northwest」 ドライバーが振り返った。ハビーは「Good luck」、ミニミーは「Have a nice vacation」 と言って立ちあがった。終始緊張の面差しをしていたお嬢もあふれんばかりの笑顔で手を振ってくれた。ドライバーに多めにチップを渡して荷物を降ろしてもらう。ハビーは透析をしているため、左腕で重たいものを持ってはいけないのだ。ミニミーが黙っているとなんとか自分でやろうとするからいつも目を光らせている。そういう意味ではチップで気軽にお願いができる欧米の慣習はありがたいと実感する。
日本でも海外でも、ハビーにおしゃべりと言われようが、ミニミーはこれからもいろいろな人といっぱいお話しをしてたくさんのことを教えてもらいたい。「出会った笑顔編」は長くなったけれどやっとおしまい。