状況の変化
結局、ドナーの候補として残ったのは、どういうことなのか、私の妹だけでした。義兄は、精神的に不安定な状況になってしまうし、叔父はどういう意味なのか、夫に癌が消えたり、肝臓の病気に効果があるというサプリメントをどっさりと送ってきました。そして、叔父から送られてきたメールには、夫の癌が早く良くなりますようにというようなことが書かれていました。私たちは、叔父がドナーになる意思はないということだと受け取り、移植は諦めることにしました。夫の肝臓の状態は、最初、癌以外の部分もかなり悪くなっているという診断だったのですが、検査を進めていくうちに、3年前に検査を始めた頃から殆ど悪くなっていないことがわかりました。しかも、癌は全て摘出できると外科の先生がおっしゃってくださり、頻繁に検査をしていれば、もし再発したとしても内科的治療で治療ができるそうです。癌は詳しく調べた結果、一箇所しかなく、それも、この間の治療によって、壊死し始めているようです。長生きをするためには、移植をするのが一番なのだそうだけど、今、切除が可能なら、切除してくれと主治医に伝えました。しかし、妹は、いずれ移植するなら、今移植してあげたいからと、ドナーになると言って聞きませんでした。夫は、他人に傷をつけてまで、自分が生きる意味があるのかと悩んでいましたが、私たちは結局、妹に甘えることにして、妹がドナーとしての検査を受けることになりました。そして、移植が行われるはずの施設と、夫の入院している病院の先生が相談をして、妹では、夫と肝臓のボリュームが合わないという結果が出ました。男の人の場合、女の人でも、大柄な人からだとボリュームが合うそうなのですが、私や妹は小柄で、移植をしても、いちかばちかということになるそうです。最初に思われていた夫の病状だと、いちかばちかの手術でも仕方が無かったようで、私がドナーになり、移植するのが最善かと思われていたようですが、今は、夫の肝臓の状態がそう悪くないことがわかったので、癌の部分の切除の手術のほうが、安全なのだそうです。これは、嬉しい誤算というべきなのでしょうか。最初、かなり肝臓の具合が悪いと聞いていたのに、なんで、今になって、状態がそう悪くないということになるのでしょうか。結局、移植するとか、しないとか大騒ぎした私たちはなんだったのだろうかと拍子抜けしてしまいました。それでも、妹には本当に感謝しています。姪のほのかはまだ生後11ヶ月。そろそろ2人目を作ろうかと考えていた頃で、しかも4月から、仕事を始めるというのに、折角の就職を棒に振ってまでも、ドナーになると言ってくれました。「恐いけど、人の命がかかっているのだから」と、両親を説得し、3ヶ月間、ほのかを抱くことができなくなるからと、断乳させようとまでしてくれた。そこまでしてくれた人は、残念ながら、夫の親族にはいなくて、それがドナーがいなかったことよりも、夫には辛いのではないかと思うと、気の毒だけど、とりあえず移植は必要なくなり、親戚関係の崩壊の心配もなくなりました。それでも、私の心には、しこりが残る部分もあるのだけど、今は、夫の肝臓を健康なものにしてあげることを考えていこうと思います。癌が消えることもあるのなら、癌を切除した後の夫の肝臓も、きっと健康なものになることができるはずです。絶対に私が、夫の肝臓を健康にしてやる!まだまだ、がんばろうと思います。そして、私は小柄なので、痩せて肝臓に脂肪がなくなっても、夫の肝臓のボリュームと合わないかもしれないけれど、いよいよというときには、いちかばちかの勝負はできるかもしれないので、このままダイエットを続けて行こうと思います。勿論、移植なんて、しないのが一番です。これから先、医学が進歩して、内科的な治療だけで完治してくれることを願ってやみません。そして、夫の癌の切除の手術が成功しますように。