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 alex99@ Re:悲しい母の日(05/14) う~~ん。 日本人の男性とか、アメリ…

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December 9, 2004
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アメリカに来て一ヶ月。2回目の授業に出て終わった時、私は一人の男の子に声をかけられた。何を話したか覚えていないが、確か「クラスはどう?」とかそんな簡単な会話だったと思う。日本の学校で「元気?」のご挨拶を”How are you doing?”じゃなくて”How are you?”としか習ってなかった私には彼の挨拶でさえまともに答えたかどうか定かでない。英語を話す人にクラスメートとして対等に話されたのは初めてだった。まごまごして「留学生として来たばっかりで何を話しているかわからない」みたいなことを答えたと思う。

Brandonは普通のアメリカ人だった。両親は離婚していて、父親は近くに住んでいるが母親は郊外のWest Chesterに住んでいたと言っていたと思う。親元から離れてInternational Houseから近い一つの家を6人ぐらいでシェアして住んでいた。

私にはホストファミリーがいなかったのでInternational Houseの同じフロア仲間ぐらいでないと英語を話す機会がないのではないかと思っていたから普通のアメリカ人に自発的に声をかけられたのがとてつもなく意外だった。言葉足らずで日本語と違ってすっかり話下手な私の話を忍耐強く聞いてくれて、私の知らないアメリカ生活のことをあれやこれやと教えてくれた。2回受けたその授業は私にはあまりにも難しくて受講するのをやめたが、彼とはイーメイルで連絡を取るようになった。それからまもなく彼にお昼ご飯を誘われた。私はうれしくてオッケーの返事をした。あまり気にしていなかったがその土曜日はバレンタインだった。

待ち合わせの時間にビルのロビーで待っていると彼は私を見つけるとつかつかとやってきてバラの花を一輪手渡してほっぺに軽くキスをして挨拶をした。私はそんな扱いと挨拶は初めてだったのでびっくりした反面、うわ、なんか違くてうれしいかも、とわくわくしていた。男性から花を貰ったのも初めてだったが(日本ではしないよね・・・)バレンタインデーに女の自分に何かしてもらったのも当然初めてで、その日初めてアメリカのバレンタインデーは男性が女性に何かする日だと知った。私達はリッテンハウススクウェア沿いのアメリカ料理のレストランに入ってランチをして楽しい時間を過ごし、何の問題なくInternational Houseに戻った。

その夜例の日本人グループの友達たちにその日の出来事の報告をすると、ほっぺにちゅ、の挨拶なんて普通でない、挨拶なんてものじゃない、それ以上だ、だの、バラを貰うなんてどうかしている、など散々言われた。今考えればそれは半分あたりで半分外れぐらいで、バラ一輪ぐらいならSweetな友達だね、ぐらいに考えていいのかもしれないが、当時は皆留学したて同士、相手が何したかにしたで詮索するのが彼らの楽しみだった。私は適当に聞き流して、初めてのアメリカっぽい自分の経験にうぬぼれていた。

**

うぬぼれたまま、私はまたBrandonと友達として学校帰りに遊びに行ったりした。アメリカのことを沢山聞いて、彼がそれを説明する度「アメリカって最高の国なんだぜ!」と言い切った。私がハードロックとメタルが好きだと知ってCDショップで色々お勧めを教えてくれたり公園で散歩をしたりした。彼は私より幾つか年上だったが酒を飲むのが好きで、よくバーに入った。バーに入ると彼は何杯か自分で買って飲むのだがそのうち「ね、今細かいの持っていないんだ、貸してくれない?返すから。」と聞くようになり、友達思いの私はもちろん、はい、どうぞ、と疑いなく貸してあげた。貸した次の日、彼は必ず返してくれた。

彼が私の住んでいる部屋に遊びに来たこともあった。限られた滞在費をちまちまとやりくりしてスーパーで色々買いだめをして部屋の冷蔵庫に閉まっていたが、彼が遊びに来るといつのまにか冷蔵庫の飲み物が無くなっていたり、そこら辺に置いておいたクッキーなんかが空っぽになっていた。日本から来たばかりの私は彼が勝手に冷蔵庫を開けて許可もなく飲み物を飲み干したり、あったものを食べるやり方に心の底から驚いた。一言声をかけてくれても・・・?と思ったが、言葉足らずの私はぐっと黙ってその様子を伺っていた。

また他の日にはバンドが演奏しているバーに行った。その時彼は私にシャーリーテンプルという飲み物を頼んでくれて、甘いけれど酒の飲めない私はバーに行っても頼みたい飲み物などなかったのでまぁ丁度よかった。その日、いつものごとくBrandonは飲み始めた。彼は飲むと煙草が欲しくなってきて、返すから煙草代貸して、と頼んだ。私はいつものように疑いなくお金を渡した。

お金を渡すと彼はまたジンのショットを頼み、そしてまたお金を借りてショットを飲んだ。また「アメリカって最高だぜ!」系の話をして飲まない私は途方にくれていた。バンドが演奏しているその店は狭く白人の客で一杯で、アジア人一人でその場にいるのがなんとなく恐かった。ショットを何回か飲んだ彼は「あのさ、もう僕一人で帰れないから、部屋に泊めてよ。」と頼んだ。

彼の住んでいる場所は近かったが来たばかりの私には定かでなくて、唯一つ、そこらへんの治安はあまりよくないと言うことだけ知っていた。英語が不確かなので一人で彼をそこに置いて帰る自信はとうていなく、しぶしぶ一緒にタクシーに乗ってInternational Houseに戻った。部屋に着くと酔いつぶれた彼は私の狭い部屋の狭いシングルベッドにそのまま横になって寝てしまった。私はシャワーを浴びて寝る場所が無くなってしまったのでしぶしぶ床に予備のシーツを敷いて寝た。

翌朝、床に寝ている私を見て彼はかなり動揺した。特にアメリカ人は床に寝る文化などないから「本当にごめん。もうお願いだから床には寝ないで。」とすごく申し分けなさそうに何度も何度も謝っていた。私はあまり気にならなかったのでまぁ、そんな時もあるさぐらい思って、いいよ、と返した。

しかしそれから一緒に出かけた次の時もその次の時もBrandonは飲みに飲みまくってつぶれて家に一人で帰れなかった。お金はきちんと返してくれるので友達として頼まれた時に貸すのを渋りたくなかったが、お金を貸すから彼は飲んで一人で帰れなくなるわけでいいかげん彼の面倒を見るのに疲れてきた。彼が部屋に来ると冷蔵庫の物も一遍に無くなるし、寝る場所は無いし、だからといって同じベットに入るのも・・・日本に彼氏がいるのは別にして割り切ってしまえば、もしそれ以上のことが起こっても何にも感じないがあんまり考えたくない問題である。自分が飲んで酔いつぶれて私にどれだけの苦労かけてるのか分かってるんだろうか・・・。

数回同じことを繰り返したある日、やっぱりBrandonは分かってない、とようやく気づいた。ここは日本人っぽく黙ってないで彼に「もう止めてくれ」とはっきり言わないと出かければ出かけるほど向こうはいいが私が疲れに疲れてしまう。英語で話さなければいけない限り私は言葉少なだったので、今まで不満をずっと押し黙っていて言いたいことは山ほどあった。かといって、直ぐ言いたいことが英語で出るぐらい流暢ではなかったから頭の中で一杯一杯どうやって言えばいいか考えてその日、バーに言った時に一気に不満をぶちまけた。

「あのね、もう飲むの止めて欲しいの。私疲れたし、あなたお金借りてばっかりだし、いつも家に泊めなきゃいけないし、冷蔵庫のもの勝手に食べたり飲んだりするし、それは良くない。」
みたいなことを貧困なボキャブラリーのなかから言ってみた。今まで黙ってにこにこ自分に親切にしてくれた私が突然そんなことを言ったものだからBrandonは激しく動揺した。
「どうしてそんなこと言うわけ?」
「だって頼んでばかりじゃない!You are not nice!」
と(多分)その時言った気がする。後で考えてみれば彼がdemanding(わがまま)なことと「You are not nice!」(悪く訳せば『意地悪な人ね』とかいう意味になってしまうんだと思う、今考えれば)ということは全く関係ないし実際彼は普通にniceな人だったはずだが、言葉が見つからない私は知っている限りの言葉を使って自己主張をしてしまった。

Brandonはとても悲しんで「そんなこと言わないでよ・・・わかったよ。今度から飲むの止めるから。今日で最後にするから。もう気をつけるから。」と私に語って「Niceじゃないって言うなんてひーどーいーよー!」と、またジンのショットをがんがん飲みはじめた。そして・・・酔いつぶれた。




→→→続く→→→またはUS Life Indexへ行ってみる→→





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Last updated  December 9, 2004 07:31:29 AM
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