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カテゴリ:真黒ノ詩
耳無兎
彼の名前は耳無兎 無いのは耳だけ 目は開く 黒く澱んだ地の果てに 暗く映っ た水面の様な 底を浚った藻泥の瞳 無いのは耳だけ 口は利く 赤く開いた神社の鳥居 そっと佇む稲荷の様な 月を 咥えた刃の入り口 無いのは耳だけ 鼻は嗅ぐ 白く褪せた白髪に通す 鉛で出来た髪櫛の そっと流 るる透しの小丘 無いのは耳だけ 他は在る 鉈で裂かれた両耳の 滴る赤血拭いながら 紐で首吊 る耳無兎 開いた傷口縫いながら 胸に刃を耳無兎 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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