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カテゴリ:手塚治虫とマンガ同人会
~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』 ●第13回 職員室 第910回 2007年4月4日 安藤にはマンガに対して興味はなかった。しかし、井上の描いた教師の似顔絵を見て、ここまで描くなら四コママンガも楽しみだという気持ちはある。だが他の教師たちがどう見るだろうと、それが心配だった。 美智江は精一杯の意見を言った。それでも即座に承認がもらえないことに苛立った。 それから数日後のことだった。 授業が終ると黒澤は職員室に戻った。 黒澤は三年三組の担任の春日英朗に語り掛けた。 「春日先生の井上くんは絵を描くのですね」 「ハイ、絵もマンガも好きなんです。井上が何か?また問題を起したんですか?」 春日は右脚を左脚の上に組んで貧乏ゆすりをしながら訊いた。 「いやいや、国語の課題の絵が教室に貼ってありました。なかなかしっかり描けていました」 と、黒澤が言った。ホッとした春日だった。 「そう言ってくれれば……なにしろ原子力空母エンタープライズが佐世保にいた時は、反対の壁新聞を張り出して、寒河江校長からこっぴどくやられましたからね」 「気骨もあるじゃないですか。組合活動に熱心な春日先生の教え子らしいですね」 「そういえば黒澤先生もマンガのモデルになっていましたね」 「そっくりでした」 職員室には笑いが起きた。 すると生徒会新聞委員会顧問の安藤直子が話に入ってきた。 「先生たち……実はそのことで相談なんですが」 「なんですか?安藤先生」 春日が訊いた。 「新聞部にその井上くんのマンガを載せることが中山美智江から提案されているんです。マンガなので中山さんには返事をしていないんです」 安藤は困った顔をして春日たちに相談をした。 「中山らしいなあ……問題はマンガの内容じゃないですか。政治的になると校長がうるさいし……」 春日は言った。亀岡博が話を聞いて傍に寄ってきて言った。 「私も話の仲間に入れてください。先生たち、今、中学校の子どもたちに一番人気のある番組はなんだか知っていますか?」 春日が「巨人の星」と言った。 「そうです。巨人の星です。今までのマンガというイメージを劇画、つまり大衆文学と絵物語とマンガをミックスしたテンポの速いマンガ映画です。山形放送で土曜の夜7時から放送しているでしょう」 「すごい人気だ。特に野球部を始め体育部の生徒は一生懸命に見ようとしている」 と春日が言った。 「マンガの社会におけるポジションは着実に変わってきました」 と、亀岡が言う。 「やっぱり彼はマンガ家ですかね……」 と、黒澤が言った。 「新聞にマンガを描かせてみます!」 と、安藤は決心して言った。 2006年 9月16日 土曜 記 2006年 9月17日 日曜 記 2006年 9月23日 土曜 記 2006年 9月29日 金曜 記 2006年 9月30日 土曜 記 2007年 1月27日 土曜 記 2007年 1月28日 日曜 記 2007年 1月30日 火曜 記 (文中の敬称を略させていただきました) ~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第13回 職員室 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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