~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』
●雑感その2 手塚治虫・創作の秘密
第922回 2007年5月14日
昨夜のテレビ番組、「NHKアーカイブス」で「手塚治虫・創作の秘密」が放送されました。
この番組は、手塚治虫先生の制作室のマンションでの創作模様を、24時間カメラが入り込んでの見事な取材でした。
この番組は手塚先生が亡くなる3年前に取材・放映された貴重な番組として、当時も手塚ファンだけでなく、多くの視聴者から反響があったことを覚えています。
売れっ子で常に第一線で活躍する手塚治虫先生が、こんなに苦悩して、イライラしている顔をテレビで見せるのは初めてでした。
手塚プロでの素顔や、ある週刊誌編集長の面会申し込みを原稿締め切りの請求と言い切る時の厳しい表情には、ニコニコした暖かさは消えていました。
広島のアニメフェステバルでは、会場とホテルを交互に行き来してマンガを描くどうしようもない手塚先生。山形で会った時の手塚先生の忙しさを思い出して観てしまいました。
「アイデアは5分あればいい。たくさんある。でも、絵が描けなくなっている。主線が震えている。マルが描けなくなってきている」
と言う手塚先生はさりげなく言っているようでも、長年ファンだった私たちにとってはとても残酷な言葉でした。
60歳の定年退職のように、この世から去った手塚治虫先生は酷使して、自分の生命を削って作品を生み出していることがよくわかる番組でもあり、「マンガの神様」も人間だったという印象が残る番組でした。
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(文中の敬称を略させていただきました)
~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』
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