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カテゴリ:手塚治虫とマンガ同人会
~山形マンガ少年~ 第三部 『熱い夏の日』 ●第34回 大事な話 第963回 2007年8月25日 井上は二階の自分の部屋に入ると、畳の上に大の字になって両手を枕にして空を仰ぐように寝た。 井上は目を大きく開き、空を見た。 夕暮れにも関わらず、大きな窓から見える空はまだ明るかった。 井上は石井編集長からの電話の内容を頭の中で復習していた。 どうして手塚治虫先生がオレたちに話があるんだろうか。それも人数を絞れとは、よほど重要な話なんだろうか。 村上彰司さんからは真崎守さんがぐらこん山形支部の顧問就任の朗報と、たかはしよしひでさんをアシスタントにどうだろうかと相談があった。 井上には、どうもCOM絡みで自分たちの周りが変わっていきそうな予感がしてならなかった。 大きな窓からはスーッと涼しい風が入って、井上の顔を洗った。 そうだ、このことをたかはしセンセイに伝えなければ……。 夕食も終わり、井上は午後八時を過ぎるのを待っていた。 午後八時からは市外局番の電話割引があるからだ。 八時になると井上はすぐにたかはしよしひでに電話を掛けた。 たかはしは井上の電話を待っているかのようにすぐに出た。 「村上さんから電話がきたのよ~ス」 と、たかはしが言った。 たかはしは、村上から真崎守のアシスタントの件を聞いたと言った。 「いい話だよね。たかはしセンセイなら絶対向いている仕事だと思うけど」 と、井上が言ったが、 「ダメ、ダメ、全然、その気はないもの」 と、たかはしは一笑して話を打ち切った。 自分とはまったく関係のない話だという雰囲気だった。 たかはしセンセイぐらいマンガが達者なら、アシスタントになって、将来はマンガ家として一本立ちも可能性は可能だろうに……いや、たかはしセンセイならあるだろうと。 井上には、たかはしの気持ちが理解できなかった。 そしてたかはしに関心がないことにもがっかりした。 「オレはマンガ家やプロになりたいなんて、考えたことないもの。 井上センセイはプロになりたいって考えたことはあったかい?」 そう、たかはしは井上に訊きなおしてきた。 「考えたこともないじゃあ」 と、井上が答えた。 「んだべ~!オレは井上センセイと同じだ。 急に言われてもその気がないからなあ……」 我々はプロになりたいなんて考えてマンガを描いているわけでもないし、同人会活動をしているわけでもない。 たかはしの言葉には説得力があった。 井上は手塚治虫と山形で会うときの話題に変えた。 「石井編集長から、手塚先生が我々に話があるので当日は人数を絞るようにということでした」 「なんだべなあ。大事な話でもあるだろうか?」 かんのセンセイや数人を予定していたんだけどと、たかはしが付け加えた。 「かんのセンセイは地区役員だからいいんでないですか」 と、井上が答えた。 2007年 5月27日 日曜 記 2007年 5月30日 水曜 記 イラスト・たかはし よしひで (文中の敬称を略させていただきました) ~山形マンガ少年~ 第三部『熱い夏の日』 ●第34回 大事な話 「山形マンガ少年」まとめてご覧いただけます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年08月25日 11時25分48秒
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